ハコベ・おりこうさんな若草色
【学名】 Stellaria media Cry =コハコベ (多数種類があり、 Stellaria以下が異なる)
【英名】 Chickweed, Stitchwort
【別名】 ハコベラ、アサシラゲ、ヒズル、ヒヨコグサ、ホーベラ
【生薬名】 繁縷(はんろう)
【科】 ナデシコ科
世界に広く分布する多年草。日本では春の七草のひとつ(コハコベ)で、日当りがよければ冬でも花がつきます。学名のStellaria(ステラリア)は、ラテン語の 「stella(星)」が語源。花の形が星形をしていることから。「はびこりめむら(蔓延芽叢)」がなまって、ハコベラになった、という説も。
昔から血の道を司どる植物で、女性の産前産後に用いられてきました。和漢三才図絵には、青汁が悪瘡や痔を治す、乳汁の出をよくする、5月5日(端午)の朝、これの青汁をとり、アワビの貝殻に入れた塩に、7回加えて煎り上げたもの(ハコベ塩)で歯を磨いたり、目を洗ったりすると良い、という記述があります。
実際、はこべ塩は歯磨きとして、長く一般的に知られていました。煎じて飲めば、健胃,整腸、解毒、便秘解消、脚気の治療、虫垂炎にも効くとされます。若葉は、汁の実、和え物、天ぷらでいただきます。
鎌倉の野原でも、肥えた湿り気のある土地によく生えているのをみかけ、2月頃から夏ぐらいまで、食べたり、染めたりで楽しめます。有機肥料やミネラル分の多い土地に生える性質があるので、ハコベにもミネラルが多く含まれるのだそうです。なんて、おりこうさん! ゆえの薬効、納得です。
このたび、はじめてハコベ塩をつくってみました!
【ハコベ塩】・・・ 歯磨き、天ぷらの付け塩、ふりかけに。
・ハコベを取り、よく水洗いする。
・ミキサーに、少量の水と一緒にいれ、十分に撹拌。
・これをガーゼで濾して青汁をとる。
・鍋にハコベと同量の塩を入れて火にかけ、そこにハコベの青汁を加えながら、水分がなくなるまで十分に煎る。
これにミントなどを加えたものが、製品として販売されたりしています。
どの媒染でも美しい緑系の色を得ました。アルミでは明るい若草色、 銅媒染で翡翠色、鉄でややくすんだ草色。アルカリ水で抽出すれば、更に鮮やかな緑が得られると思われます。
花言葉は「ランデブー・」「追想」「集合」「愛らしい」「私と逢っていただけますか」。
1/9・1/25・1/30の誕生花。新年の季語、または春の季語。
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・http://www.weblio.jp/
・「食べる薬草事典」村上幸太郎/著 農分協
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第102巻
・「よくわかる山菜大図鑑」今井國勝・今井万岐子/著 永岡書店
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
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