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2014/05/15

2014/05/15

ヤエムグラ・春の覇者のカナリヤ色

Yaemugura02

【学名】  Galium spurium var. echinospermon
【英名】  false cleaver, bedstraw
【別名】  クンショウバナ、クンショウグサ、トリグサ、クチキリ、
      ウズラ、スネカキ、イゲハコベ、マンキンタン
【科】    アカネ科 

アジア、ヨーロッパ、アフリカに分布する越年草。

茎には下向きの棘があり、他の植物に寄りかかり、棘を引っ掛けながら立ち上がるという、侮り難い生命力の草。(故に草むしりで取り除こうとすると、それぞれが絡み合っていっきにたくさん抜けるけど。)群雄割拠の春の野原にあって、常に隆盛を保っているのは、このしたたかさのせいでしょうね。

学名のGalium(ガリウム)」 はギリシア語の「乳」が由来。このヤエムグラ属は世界のいたる所におよそ400種分布しているといわれ、その中にチーズ作りの時にミルクを固める作用をするものが数種あり、そこからの命名であると考えられます。ちなみに日本では19種類が確認されています。

和漢三才図絵に見られる「葎(むぐら)」は、クワ科の別種。近年ハーブとして注目され始めた「クリバース」はこちらではないかと思われますが、ヤエムグラと混同している記述がいつくか見受けられます。
同じ和漢三才図絵には「猪殃殃」の字をあてた「むぐら」の記述があり、これがヤエムグラだと思われます。「ブタがこれを食べると病気になるためこの名がある。」(殃は「わざわい」の意味!)とあり、また、「人は春にこの茎葉を煮熟して食べる」とあります。人は大丈夫なの?

ハコベ、ヒメオドリコソウなどとともに、工房のそばにも春先から初夏にかけてよく見かけます。アルミで透明感のある黄色。銅でカーキー、鉄で緑みの黒。

花言葉は「拮抗」「抵抗」。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ヤエムグラ
http://www.hana300.com/
http://plumkiw948.at.webry.info/201105/article_38.html
http://minhana.net/wiki/ヤエムグラ
http://ejje.weblio.jp/
http://www2.mmc.atomi.ac.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第83巻

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

   

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ウラシマソウ・静かな毒草の枯茶色

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【学名】  Arisaema urashima
【英名】  cobra lily Urashima
【別名】   ヘビグサ(蛇草)
【科】    サトイモ科

学名のナンテンショウ属を表すArisaema(アリサエマ)は、ギリシャ語の「血のような斑点が葉にある植物」の意。(ウラシマソウには特に斑点は見当たらないですが。)

北海道南部から四国にかけて、湿気の多い山林などに生える宿根の多年草。雌雄異株。このウラシマソウを含むナンテンショウ属の植物は、その性が転換することが知られています。若い株、小さい株は雄が多く、大きくなると雌に変化するというから、驚きです!

マムシグサと類似していますが、ウラシマソウは花の先に長いツルを出し、これが浦島太郎の釣り竿に例えられてこの名があります。

実、根茎ともに有毒。ゆえに薬効も強く、去痰、咳止めのほか、がん一般に有用との説もあり。ですが、素人は絶対に用いないほうがよいでしょう。
根茎を堕胎に用いた歴史もあるそうです。夏にトウモロコシ状の実をつけ、これが赤く熟しますが、食べると口内のしびれ、腫れ、ひいては肝機能障害を引き起こすので要注意です。

以前からずっと染めてみたいと思っていた植物でしたが、谷戸が深く湿気の多い鎌倉にあっても、近年は数が減っていて、なかなか手に入りませんでした。が、今回、常盤にお住まいのYさん宅の裏庭の群生から分けていただく幸運を得ました。

花はクロユリを連想させるほどの黒々しい紫だったので、花と茎はを分けて染色してみました。
花を煮出した液は、その紫色が溶け出したような色になりましたが、アルミで樺色になるにとどまりました。銅で媒染した枯茶色(からちゃいろ)が美しかったです。茎・葉はアルミで美しい黄色。銅ではどちらもカーキーグリーン、鉄では朽ち葉色。

花言葉は「懐古」。ふむ、たしかに古い時間が花全体にとけている感じの風情です。

参考サイト/文献

・http://ja.wikipedia.org/wiki/ウラシマソウ
・http://www.hana300.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_det_12.html
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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ハルジオン・貧乏性のど根性色

Himejion01

【学名】  Erigeron philadelphicus
【英名】  common fleabane、Philadelphia fleabane
【別名】    ビンボウグサ(貧乏草)、ハルジョオン、ハルシオン
【科】     キク科

日本人であれば、もれなくこの花と子どもの頃の思い出がリンクするのではないでしょうか。春の空き地でいつもいっしょにいたハルジオン。別名、貧乏草。たしかにゴージャスなセレブ感は皆無、庭に生え始めると、なんだか金運が下がるような情けなさも醸し出し、でも、いなくなったら寂しい・・・そんな花ですね。

学名のErigeron(エリゲロン)は、ギリシャ語の「eri(早い)+ geron(老人)」が語源で、早く咲き(春の花)、白い軟毛で覆われた花、という意味。

北米原産。大正年間に観賞用として持ち込まれたものが、関東の都会で野生化、現在では日本全国で見られる帰化植物です。日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100に選定されていますが、もうすっかり日本のお花です。
同種のヒメジョオン(姫女菀、学名: Erigeron annuus)より、花が大ぶりで、花弁がワッサリしています。また、茎の内部が空洞である、つぼみがうつむいている、花にピンク色がある、などがハルジオン(春紫苑)の特徴です。

葉や花を採取して、陰干しにして乾燥させたものをお茶にして服用すると、糖尿病やむくみの改善に効果があるとされます。また、若芽は適時採取して、塩を入れた熱湯でかるく茹でてから、水にさらしてアク抜きをして、おひたし、あえもの、油いため、佃煮などで楽しめます。特に若い葉は、そのままころもをつけて天ぷらにして香りを楽しむことができます。

少量でもたいへん濃い染液が得られるのにはびっくり。どの色もとても堅牢で、アルミで緑みの芥子色、銅で、ひき茶色、そして鉄の黒緑が特に美しいです。

「貧乏人」の底力を感じますね。か弱く見えて、いやいや、恐れ入りました。

花言葉は「追想の愛」。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ハルジオン
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
http://www.hana300.com/・http://www.e-yakusou.com/
http://ejje.weblio.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「よくわかる山菜大図鑑」今井國勝・今井万岐子/著 永岡書店

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ノゲシ・憎まれっ子のモスグリーン

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【学名】  Sonchus oleraceus L.
【英名】  common sowthistle
【別名】  ケシアザミ、ハルノノゲシ、ツバヒラクサ
【生薬名】 苦菜(クサイ)
【科】   キク科

 

ヨーロッパ原産。史前帰化植物として古くに日本に伝わりました。

葉のギザギザが深く、一回り大きいものは、オニノゲシと呼ばれます。

花の咲いた時期に全草を採取して天日で乾燥させたものをお茶として服用すると、脾・胃・肝・腎・心・肺の五臓六腑の邪気を払い、無毒で心を鎮め、気力が充実し、身を軽くして老化を防ぐ、滋養強壮の効果があるといわれています。

ロゼット状の葉っぱ、新芽、つぼみは食用となる。アクが強いのでゆでたあと充分に水にさらして、和え物、炒め物で楽しめます。
このアクの強さは、染色では堅牢な色を得るキーワードで、予想通り、少量で強い色が得られました。
アルミで卵色、銅でモスグリーン系、鉄で海松色系。若い株よりも、花が終わりかけぐらいのもののほうが濃い色になるようです。

煮出すとキク科特有の甘さのないきりりとした芳香が漂って、気分さっぱり。

鎌倉でも、オニノゲシとともに春先から初夏にかけてあちこちに群生が見られ、その様子は、他を圧倒する迫力があり、ちょっと見、ヤンキーな暴走族集団の空気感・・・。でも葉っぱはギザギザと尖っていますが、触って痛いほどではありません。よくみるとかわいいところもあって、"ギャップ"に弱い女心がくすぐられます。

花言葉は「見間違ってはいや」「旅人」「幼き友」「悠久」「追憶の日々」、そして「憎まれっ子世にはばかる」。

染色人には愛すべき憎まれっ子です。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ノゲシ
http://www.flower-photo.info/products/detail.php?product_id=371
http://www.hana300.com/
http://www.e-yakusou.com/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる山菜大図鑑」今井國勝・今井万岐子/著 永岡書店
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

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ホオノキ・包容力の海松色

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【学名】  Magnolia obovata
【英名】  Japanese whitebark magnolia 
【別名】  ホオガシワ
【生薬名】 コウボク(厚朴)
【科】   モクレン科 

日本各地、および中国に分布。
他の植物の発芽を抑える物質を出す「アレロパシー」作用の強い樹木として知られ、このホオノキの周りには、他の植物が生えにくいといわれます。
ホオは「ほほむ=開かずそのままでいる」が語源で、冬芽の様子を表したことから。

樹皮はとくに「厚朴」という名の生薬として知られています。が、単独で使われることはなく、これを含む半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、動悸、めまい、咳、つわりの改善に効果があると言われています。和漢三才図絵では「誤用すると人の元気を奪ってしまう。妊婦は用いない」とありますから、素人処方はやめた方がよさそうですね。

葉には芳香と殺菌作用があり、葉が大きいことから、太古の昔から食べ物をのせるのに使われてきました。木の姿からも、大きくおおらかな形の葉っぱからも、「守るよ!」という包容力が感じられ、この葉っぱにごはんをのせたら、ほんとうに美味しそうです。
飛騨の郷土料理として「朴葉味噌」「朴葉寿司」は有名ですね。

幹材は、桐に似てやわらかく軽いです。昔から、下駄の歯、刀の莢、マッチの軸、版木、鉛筆などに用いられてきました。また、ホオの炭は垢擦りや鍋の焦げ落としに使われたそうです。
その軽さと細工しやすいやわらかさに着目した知人が、昔、特注で嵩の高い杼をデザインしたことがあり、わけてもらったことがあります。太い緯糸をたくさん巻いて使うのに重宝しています。

二階堂知人宅の庭木のホオノキの枝と葉を染めてみました。マグノリアの仲間独特の華やかな香りが湯気に漂い、アルミで落ち着いた赤みの黄色系(≒木蘭色)、銅でカーキー系、鉄で海松色系を得ました。

花言葉は「誠意ある友情」。

ふむ、ホオノキみたいな殿方、いいですねぇ。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ホオノキ
http://www.e-yakusou.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第83巻

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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