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2014/06/12

2014/06/12

フキ・有無を言わさぬ判決!・・・な色

Fuki01

【学名】  Petasites japonicus
【英名】  Giant Butterbur、 Japanese sweet coltsfoot
【別名】  のぶき、やまぶき、あおじく、ばんけ
【生薬名】 蜂斗菜(ほうとさい)
【科】      キク科

 

学名のPetasitesは、ラテン語のぺタソス(日覆い帽子)が語源。

フキにまつわる神話が多く残る北海道。帯広にほど近い豊頃(とよころ)という地名は、アイヌ語「トエコロ」(大きなフキが生えていた所の意)から転訛したものだそうです。

フキは、実は雌雄異株で、早春に地下の根茎から大型の苞をつけた花茎を伸ばし、その先端から頭状花序をつけます。 雌花は白、雄花は黄色で、この花芽を一般にフキノトウといい、多くの鱗片葉をつけています。 根茎は短いですが、地中で枝をのばして旺盛に繁殖します。 

生薬の蜂斗菜(ほうとさい)は、夏から秋に根茎を掘り採り水洗いして乾燥させたものをいいます。 煎じて飲む、蕗味噌にして食すなどによってとりいれると、咳止め、去痰、風邪、気管支炎 などに効果があるとされています。茎、葉、根を用いても同様の効能。

ワラビとともに発ガン性物質が含まれていることが知られていますが、アク抜きや塩漬けなどの処理をすることによって発ガン性は消滅するので、季節料理として風味を楽しむぐらいの摂取量ならば、 心配はいりません。

和漢三才図絵によれば奥州津軽野産(アキタブキ)が大きいことが特記されています。このアキタブキ、愛知ブキは古くから食用として有名で、現在でも水ブキと並んで、栽培も盛んです。

フキ全般の花言葉は、「公平」「公正な裁き」。
11/17の誕生花。 フキノトウの花言葉は、「愛嬌」「処罰は行わねばならない」「私を正しく認めなさい」「正義がなされることでしょう 」。
2/16の誕生花。

アクの強いものはよい染料になることが多いので、茎をとったあとの葉を煮出して染めてみました。どの媒染も期待を裏切らない大変堅牢な濃色。アルミでうぐいす色、ひき茶色、銅で濃いカーキーグリン、鉄で緑みの黒。

花言葉にも現れているように、どの色にも「曖昧さ」は皆無。きっぱりと切り込んでくるような、相手に言い訳を許さないような、まるで最高裁判所の判決のような色ですよ。

「主文、この色はうぐいす色! 」

参考サイト/文献

 

http://ja.wikipedia.org/wiki/フキ
http://www.e-yakusou.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
http://www.hana300.com/
http://ejje.weblio.jp/
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第94巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「食べる薬草事典」村上幸太郎/著 農分協

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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ブルーベリー・思いは続く赤錆色

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【学名】  Vaccinium corymbosum L.(ハイブッシュ・ベリー種)
      Vaccinium angustifolium(ロースイートベリー種)
【英名】  Blueberry
【別名】    ヌマスノキ、アメリカスノキ
【科】   ツツジ科

北米原産。日本には昭和26年に渡来しました。別名にある「スノキ」は「酢の木」。もともと日本には19種類が自生していました。

果実は北米では古くから食用とされてきましたが、20世紀に入り、果樹としての品種改良が進んで、現在では多くの品種が存在します。熟した実が酸味があることからこの名があります。ブルーベリー、クランベリー、コケモモ、ビルベリーなどは全てこの仲間です。

鎌倉市役の駐車場脇には、ブルーベリーが植えられていて、初夏に薄紅色の可愛い花が咲きます。果実に多く含有するアントシアニンの抗酸化作用が、高血圧予防、動脈硬化予防、眼精疲労改善、視力回復、老化防止、がん予防、便秘改善に効果ありとされています。

静岡の河津町に住む友人が、ブルーベリーの枝をたくさん送ってくれました。届いた枝を煮出したところ、ビワやサンゴジュに劣らぬ赤い染液になって、びっくり!

志村ふくみさんの「一色一生」に、「花が咲く直前の桜の木の皮を染めると、美しい桜色が染まる。 まるで、木全体が花の色を準備しているかのようだ。」というエピソードが紹介されていますが、同じように、あのブルーベリーの実の色を、枝がじぃっと蓄え続けて、果実に手渡そうとしていたのだなぁ、と思いました。

銅媒染で赤錆色、アルミでは櫨色(はじいろ)、飴色、鉄で璃寛茶(りかんちゃ)海松色(みるいろ)を得ました。

花言葉は「知性」「いつどんなときも」(花、全草)「思い続ける」(実)

  

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ブルーベリー
http://ja.wikipedia.org/wiki/スノキ属
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
http://www.pfaf.org
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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セリ・薬効あらたかの老竹色

Nohara02_2 Seri←this photo is from here.

【学名】  Oenanthe javanica, Oenanthe stolonifera DC. (セリ)
                        Angelica miqueliana Maxim (ヤマゼリ)
【英名】  Water dropwort,   Japanese parsley,   Chinese celery
【別名】  楚葵(そき)、シロネグサ(根白草)、つみまし草 
【生薬名】   水芹(すいきん)
【科】     セリ科

学名のOenanthe(オエナンサ)は、ギリシャ語の「oinos(酒)+ anthos(花)」が語源。
和名は、まるで競い合う(競り)ように群生していることに由来するという説が有力。

なれど、私は名前の由来について、長年、ある妄想を抱いております。このセリ、イタリアンパセリ(実は原種に近いパセリ)と見た目も、香りもよく似ていることにお気づきでしょうか。遥か昔シルクロードを渡ってきたこの(イタリアン)パセリ、韓国までは「パセリ」と呼ばれていた。しかし、破裂音があまり好きでない日本民族、日本に来たときに「パ」をとっちゃった! そして「セリ」になった・・・妄想です、あくまで。

北半球一帯とオーストラリアに広く分布しています。鎌倉では、湿気の多いところによく自生しているのが見られます。ヤマゼリと区別が難しいものもあり、もしかしたら,交配しているのかもしれませんね。

聖徳太子が膳村のほとりで、老養母のために熱心にセリ摘む貧しい娘を見かけ、その心根にひかれて宮中に向かえ、第一の后(膳手の后=かしわてのきさき)にしたという話が「三国伝記」に記されています。

花が咲き十分生育しているセリの地上部を、茎の柔らかいうちに採集して乾燥させたものを、生薬で水芹(すいきん)といいます。 食欲増進、解熱、神経痛、リューマチ、黄疸(おうだん)などに服用するとよいそうです。

また、セリは、古くから鍋物の主役として珍重されてきました。江戸川柳に「なべ焼きの鴨(かも)と芹(せり)とは二世の縁」というのがあり、このことからも、カモとセリの鍋物が古くから親しまれていたことがわかりますね。

5月頃には、よく似たドクゼリが混合して生えるので、要注意。香りのある、なしで区別を。

俳諧では春の季語。春の七草のひとつ。
花言葉は「貧乏だが高潔」「清廉潔白」
1/7・1/11の誕生花。

セリは摘んだら「食べる」・・・で長年来てしまって、そういえば染めたことはなかったと、思い立って煮出してみました。透明感のある黄色い染液からは、鉄媒染で、古代色でいうところの老竹色がでました。

参考サイト/文献

・http://ja.wikipedia.org/wiki/ セリ
・http://www.e-yakusou.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.hana300.com/
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第99巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「食べる薬草事典」村上幸太郎/著 農分協

 (C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

 

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ナナカマド・魔力ビンビンの黒紫

Nanakamado01   photo by 田中とも子

【学名】  Sorbus commixta
【英名】  Japanese Rowan, Mountain Ash
【別名】  珍至梅(ちんしばい)=ニワナナカマド
【科】      バラ科

材質が燃えにくく、7回カマドにくべても、燃えないとこからこの名があるという説。それをあえて燃すと良質の白炭となることが知られており、備長炭にはナナカマドが使われています 。このことから、7日間燃やしてよい炭をつくるからこの名があるという説も。

樹皮を随時採取、新鮮なものを生薬として用います。煎じ汁を疥癬、あせもに塗布すると治まるそうですよ。

果実は、果実酒に。
また、北海道のアイヌ民族では、病気が流行すると、ナナカマドの枝を家の中で、炊いて煙を出して厄除けをするといいます。

古くから日本各地でも「燃えにくい」ことから、火災よけ、落雷よけの木ともされてきました。そのご利益のため、神社でもよく植えられています。

セイヨウナナカマドの英名Rowanは、北欧の言葉で魔除けを意味するRunaに由来するとか。北欧神話によれば雷神トールが増水した河を渡るとき、このナナカマドに助けられたとされています。
スコットランドではwiggen treeとも呼ばれ、魔術的な物を避けるお守りとして神聖視されていたそうです。
船の一部としてセイヨウナナカマドから切り出した板を嵌めこみ、水難避けのお守りにしたという伝統もあるそうです。

火に強し、水に強し、魔力たっぷりナナカマド、侮れませんね。

アミグダリンという成分が多く、これが多いと鉄媒染で赤みの黒が得られることが多いです。ので、期待して煮出してみると、ビワ(やっぱりアミグダリン多含)を煮出している時とよく似た香りがしてきました。でも染液はまったく濃い色にならなくて、「あれ?」と思ったのですが、魔力は媒染後に現れた!
予想通り、鉄媒染では、大変美しい黒紫を得ました!! ふむ、確かに魔除けになりそうな色です。

花言葉は「怠りない心」「慎重」「賢明」「用心」「私と一緒にいれば安心」。
1/27・10/27・11/18の誕生花。 俳諧では、秋の季語。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ナナカマド
http://ja.wikipedia.org/wiki/セイヨウナナカマド
http://www.e-yakusou.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
http://www.hana300.com/
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館

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