セリ・薬効あらたかの老竹色
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【学名】 Oenanthe javanica, Oenanthe stolonifera DC. (セリ)
Angelica miqueliana Maxim (ヤマゼリ)
【英名】 Water dropwort, Japanese parsley, Chinese celery
【別名】 楚葵(そき)、シロネグサ(根白草)、つみまし草
【生薬名】 水芹(すいきん)
【科】 セリ科
学名のOenanthe(オエナンサ)は、ギリシャ語の「oinos(酒)+ anthos(花)」が語源。
和名は、まるで競い合う(競り)ように群生していることに由来するという説が有力。
なれど、私は名前の由来について、長年、ある妄想を抱いております。このセリ、イタリアンパセリ(実は原種に近いパセリ)と見た目も、香りもよく似ていることにお気づきでしょうか。遥か昔シルクロードを渡ってきたこの(イタリアン)パセリ、韓国までは「パセリ」と呼ばれていた。しかし、破裂音があまり好きでない日本民族、日本に来たときに「パ」をとっちゃった! そして「セリ」になった・・・妄想です、あくまで。
北半球一帯とオーストラリアに広く分布しています。鎌倉では、湿気の多いところによく自生しているのが見られます。ヤマゼリと区別が難しいものもあり、もしかしたら,交配しているのかもしれませんね。
聖徳太子が膳村のほとりで、老養母のために熱心にセリ摘む貧しい娘を見かけ、その心根にひかれて宮中に向かえ、第一の后(膳手の后=かしわてのきさき)にしたという話が「三国伝記」に記されています。
花が咲き十分生育しているセリの地上部を、茎の柔らかいうちに採集して乾燥させたものを、生薬で水芹(すいきん)といいます。 食欲増進、解熱、神経痛、リューマチ、黄疸(おうだん)などに服用するとよいそうです。
また、セリは、古くから鍋物の主役として珍重されてきました。江戸川柳に「なべ焼きの鴨(かも)と芹(せり)とは二世の縁」というのがあり、このことからも、カモとセリの鍋物が古くから親しまれていたことがわかりますね。
5月頃には、よく似たドクゼリが混合して生えるので、要注意。香りのある、なしで区別を。
俳諧では春の季語。春の七草のひとつ。
花言葉は「貧乏だが高潔」「清廉潔白」
1/7・1/11の誕生花。
セリは摘んだら「食べる」・・・で長年来てしまって、そういえば染めたことはなかったと、思い立って煮出してみました。透明感のある黄色い染液からは、鉄媒染で、古代色でいうところの老竹色がでました。
参考サイト/文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ セリ
・http://www.e-yakusou.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.hana300.com/
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第99巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「食べる薬草事典」村上幸太郎/著 農分協
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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