フキ・有無を言わさぬ判決!・・・な色
【学名】 Petasites japonicus
【英名】 Giant Butterbur、 Japanese sweet coltsfoot
【別名】 のぶき、やまぶき、あおじく、ばんけ
【生薬名】 蜂斗菜(ほうとさい)
【科】 キク科
学名のPetasitesは、ラテン語のぺタソス(日覆い帽子)が語源。
フキにまつわる神話が多く残る北海道。帯広にほど近い豊頃(とよころ)という地名は、アイヌ語「トエコロ」(大きなフキが生えていた所の意)から転訛したものだそうです。
フキは、実は雌雄異株で、早春に地下の根茎から大型の苞をつけた花茎を伸ばし、その先端から頭状花序をつけます。 雌花は白、雄花は黄色で、この花芽を一般にフキノトウといい、多くの鱗片葉をつけています。 根茎は短いですが、地中で枝をのばして旺盛に繁殖します。
生薬の蜂斗菜(ほうとさい)は、夏から秋に根茎を掘り採り水洗いして乾燥させたものをいいます。 煎じて飲む、蕗味噌にして食すなどによってとりいれると、咳止め、去痰、風邪、気管支炎 などに効果があるとされています。茎、葉、根を用いても同様の効能。
ワラビとともに発ガン性物質が含まれていることが知られていますが、アク抜きや塩漬けなどの処理をすることによって発ガン性は消滅するので、季節料理として風味を楽しむぐらいの摂取量ならば、 心配はいりません。
和漢三才図絵によれば奥州津軽野産(アキタブキ)が大きいことが特記されています。このアキタブキ、愛知ブキは古くから食用として有名で、現在でも水ブキと並んで、栽培も盛んです。
フキ全般の花言葉は、「公平」「公正な裁き」。
11/17の誕生花。
フキノトウの花言葉は、「愛嬌」「処罰は行わねばならない」「私を正しく認めなさい」「正義がなされることでしょう 」。
2/16の誕生花。
アクの強いものはよい染料になることが多いので、茎をとったあとの葉を煮出して染めてみました。どの媒染も期待を裏切らない大変堅牢な濃色。アルミでうぐいす色、ひき茶色、銅で濃いカーキーグリン、鉄で緑みの黒。
花言葉にも現れているように、どの色にも「曖昧さ」は皆無。きっぱりと切り込んでくるような、相手に言い訳を許さないような、まるで最高裁判所の判決のような色ですよ。
「主文、この色はうぐいす色! 」
参考サイト/文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/フキ
・http://www.e-yakusou.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.hana300.com/
・http://ejje.weblio.jp/
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第94巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「食べる薬草事典」村上幸太郎/著 農分協
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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