ナナカマド・魔力ビンビンの黒紫
【学名】 Sorbus commixta
【英名】 Japanese Rowan, Mountain Ash
【別名】 珍至梅(ちんしばい)=ニワナナカマド
【科】 バラ科
材質が燃えにくく、7回カマドにくべても、燃えないとこからこの名があるという説。それをあえて燃すと良質の白炭となることが知られており、備長炭にはナナカマドが使われています 。このことから、7日間燃やしてよい炭をつくるからこの名があるという説も。
樹皮を随時採取、新鮮なものを生薬として用います。煎じ汁を疥癬、あせもに塗布すると治まるそうですよ。
果実は、果実酒に。
また、北海道のアイヌ民族では、病気が流行すると、ナナカマドの枝を家の中で、炊いて煙を出して厄除けをするといいます。
古くから日本各地でも「燃えにくい」ことから、火災よけ、落雷よけの木ともされてきました。そのご利益のため、神社でもよく植えられています。
セイヨウナナカマドの英名Rowanは、北欧の言葉で魔除けを意味するRunaに由来するとか。北欧神話によれば雷神トールが増水した河を渡るとき、このナナカマドに助けられたとされています。
スコットランドではwiggen treeとも呼ばれ、魔術的な物を避けるお守りとして神聖視されていたそうです。
船の一部としてセイヨウナナカマドから切り出した板を嵌めこみ、水難避けのお守りにしたという伝統もあるそうです。
火に強し、水に強し、魔力たっぷりナナカマド、侮れませんね。
アミグダリンという成分が多く、これが多いと鉄媒染で赤みの黒が得られることが多いです。ので、期待して煮出してみると、ビワ(やっぱりアミグダリン多含)を煮出している時とよく似た香りがしてきました。でも染液はまったく濃い色にならなくて、「あれ?」と思ったのですが、魔力は媒染後に現れた!
予想通り、鉄媒染では、大変美しい黒紫を得ました!! ふむ、確かに魔除けになりそうな色です。
花言葉は「怠りない心」「慎重」「賢明」「用心」「私と一緒にいれば安心」。
1/27・10/27・11/18の誕生花。 俳諧では、秋の季語。
参考サイト/文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ナナカマド
・http://ja.wikipedia.org/wiki/セイヨウナナカマド
・http://www.e-yakusou.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.hana300.com/
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
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