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2014/07/09

2014/07/09

ミモザ・命のカナリヤ色

Mimoza02

【学名】  Acacia decurrens Wild.var.dealbata F.v.Muel(フサアカシア)
      Acacia baileyana F.Mueller(ギンヨウアカシア)
【英名】  Acacia, Wattle
【別名】  フサアカシア、ギンヨウアカシア
【科】   マメ科 

オーストラリア、タスマニア原産。明治初期に日本に渡来しました。

「ミモザ」は本来はマメ科の植物であるオジギソウを指すラテン語。葉に刺激を与えると古代ギリシアの身振り劇「ミモス"mimos"」のように動くことからこの名がついたのだそうです。これがなぜ、本来アカシアのなかまであるこの木に誤用されたのかはよくわかりませんが、確かに葉はオジギソウに似てますね。
混乱を防ぐために、黄色の花がつく現在一般的にミモザと言われているものをとくに「ミモザアカシア」と呼ぶこともあります。学名のAcacia(アカシア)は、ギリシャ語の「Akazo(とげのある、鋭い)」が語源です。

3年ほど前の2月中旬、西御門の友人宅の庭にあったフサアカシアの木がたくさんの花をつけたまま、季節外れの大雪の日に折れてしまいました。鎌倉にいち早く春を告げようとしていた、見るからに力みなぎる七分咲きのその木は、寒の戻りに惜しくも手折られてしまった・・・。その友人が使えるならと、その枝葉をくれたので、せめてその命の盛りの色をとどめるべく、染めてみることにしました。

1194年、源頼朝に加勢して畠山重忠の軍勢と闘い89歳で戦死した三浦半島衣笠城主・三浦大介義明の菩提を弔うために建久5年(1194年)に建てられた材木座の来迎寺にはフサアカシアの大木があり、例年2月下旬から3月中旬、木全体が黄色に燃え上がる様がじつに見事です。

Mimoza03 phoro from →here.
(隋我山 来迎寺(材木座)のフサアカシア)

フサアカシアに比べ、ギンヨウアカシアの方が香りが強いのですが、パッと見、素人目には見分けがつきにくいです。煮出すと、甘みの少ないすっきりした香りが漂います。

淡い黄色になった染液に糸を浸すと、その花の色をそのまま移して、透明感のある金糸雀(カナリヤ)色になりました。折れたミモザの、命の色です。

花言葉は、「秘密の愛」。4/9の誕生花。

参考サイト/文献

http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
http://www.e-yakusou.com/
http://www.hana300.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/ギンヨウアカシア
http://ja.wikipedia.org/wiki/フサアカシア
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
http://plant-name.seesaa.net/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 3」 北隆館
・「続々・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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キンシバイ(オトギリソウ)・東西流血物語

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【学名】  Hypericum patulum Thunb
【英名】  St. Johns’wort
【別名】  クサヤマブキ(草山吹)
【生薬名】 ショウレンギョウ(小連翹= オトギリソウ)
【科】   オトギリソウ科

中国中部原産の半落葉低木。日本への渡来は1760年頃、以来様々な品種がつくられ、庭木として定着し、自生するようにもなりました。

漢字では「金糸梅」。雄しべが金糸を集めたようで、また、花の形がウメに似ていることから。学名のHypericum(ヒペリカム)は「オトギリソウ属」を表し、ギリシャ語の 「hyper(上) 」「 eikon(像)」が語源といわれ、これは魔除けの儀式の像の上にこの花を吊るしたことに由来するといいます。

オトギリソウ、ビヨウヤナギなどは同じ仲間。園芸の世界では「ヒペリカム」の名で近種を総称することもあるようです。

欧米に広く自生するのは近種のセイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)で、古来より広い薬効で知られており、十字軍も遠征に万能薬として携えていたといいます。

オトギリソウの英名では「聖ヨハネの草= St.John’s wort」と呼ばれます。
これは洗礼者ヨハネが首を切られた時に飛び散った血がこの草につき、それから高い薬効のある草になったことからこの名になったという説と、洗礼者ヨハネの誕生日である6月24日(ちょうど夏至の頃)に花がつくのでこの名になったという説があります。
今でもヨーロッパ各地では、この聖ヨハネの祭日には家々にこの草を魔除けとして家の軒先に吊るしたり、油をとったりする風習があるそうです。

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(ドイツ・ロックフェルドの野原に自生していたセイヨウオトギリソウ)

実際、2005年、ドイツでのアート・シンポジウム中に、滞在した村の野草でシルクを染めるワークショップをした時、ドイツ人の参加者に、「この草からとれる油が赤い色をしているので、もしかしたら赤が出るかもしれないので染めてみろ」と勧められ、試したところ、果たして、乾いた血の色のようなくすんだ赤になったのです!

近年ではセイヨウオトギリソウは抗鬱作用のあるハーブとしても注目を集めていますね。

和漢薬の世界では生薬名を小連翹(ショウレンギョウ)といい、煎じたものを服用すると月経不順や鎮痛に効果があるとされています。外用には必要時に適量の生葉を採取して用い、民間での創傷、打撲傷には、新鮮な葉からしぼり汁を取り、傷に塗布するとよいそうです。浴剤としてもリューマチ、神経痛、痛風などの鎮痛に効き目があるとされます。中国では根を利尿剤や乳の出をよくする薬として用いられてきたそうです。

ちなみにオトギリソウ(Hypericum erectum)は「弟切草」と綴り、ここにもオモシロい逸話があります。

平安中期、花山天皇((968〜1008年)の時代に京都にいた鷹匠の兄弟が、鷹の傷を治す家伝の秘薬としてこの草の煎じ薬を用いてきたのですが、ある日酒に酔った弟がその秘伝薬の製法を人に話してしまい、怒った兄に斬り殺された・・・という民話が名の由来になっています。

西洋・東洋ともこの草の仲間が「血」にまつわるエピソードを持っているのは実に興味深いですね。

鎌倉の二階堂川の川縁に、近所の庭から飛んできた種が根をおろした自生のキンシバイを見つけ、染めてみました。ドイツで染めたセイヨウオトギリソウのときと同じく染液は濃い赤茶となり、銅媒染で鮮やかな赤茶を得ました。そう、これまた乾いた血の色です・・・。煮出しているときの香りはセイタカアワダチソウに似た甘さのないすっきりした芳香。

Otogiriso

花言葉 は「悲しみを止める」「煌めき」。6月16日の誕生花。
セイヨウオトギリソウは「奇跡」「敬意」「迷信」
ビヨウヤナギは「有用」「薬用」
オトギリソウは「恨み」「迷信」「盲信」「信心」「秘密」

参考サイト/文献

http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
http://www.geocities.jp/aaaself/syu--mi/ha-bu/senntojyo.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/キンシバイ
http://www.hana300.com
http://www.e-yakusou.com
http://www.herbs2000.com/
http://www.patient.co.uk/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「学生版 牧野日本植物図鑑」  牧野富太郎/著 北隆館

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

 

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