ミモザ・命のカナリヤ色
【学名】 Acacia decurrens Wild.var.dealbata F.v.Muel(フサアカシア)
Acacia baileyana F.Mueller(ギンヨウアカシア)
【英名】 Acacia, Wattle
【別名】 フサアカシア、ギンヨウアカシア
【科】 マメ科
オーストラリア、タスマニア原産。明治初期に日本に渡来しました。
「ミモザ」は本来はマメ科の植物であるオジギソウを指すラテン語。葉に刺激を与えると古代ギリシアの身振り劇「ミモス"mimos"」のように動くことからこの名がついたのだそうです。これがなぜ、本来アカシアのなかまであるこの木に誤用されたのかはよくわかりませんが、確かに葉はオジギソウに似てますね。
混乱を防ぐために、黄色の花がつく現在一般的にミモザと言われているものをとくに「ミモザアカシア」と呼ぶこともあります。学名のAcacia(アカシア)は、ギリシャ語の「Akazo(とげのある、鋭い)」が語源です。
3年ほど前の2月中旬、西御門の友人宅の庭にあったフサアカシアの木がたくさんの花をつけたまま、季節外れの大雪の日に折れてしまいました。鎌倉にいち早く春を告げようとしていた、見るからに力みなぎる七分咲きのその木は、寒の戻りに惜しくも手折られてしまった・・・。その友人が使えるならと、その枝葉をくれたので、せめてその命の盛りの色をとどめるべく、染めてみることにしました。
1194年、源頼朝に加勢して畠山重忠の軍勢と闘い89歳で戦死した三浦半島衣笠城主・三浦大介義明の菩提を弔うために建久5年(1194年)に建てられた材木座の来迎寺にはフサアカシアの大木があり、例年2月下旬から3月中旬、木全体が黄色に燃え上がる様がじつに見事です。
phoro from →here.
(隋我山 来迎寺(材木座)のフサアカシア)
フサアカシアに比べ、ギンヨウアカシアの方が香りが強いのですが、パッと見、素人目には見分けがつきにくいです。煮出すと、甘みの少ないすっきりした香りが漂います。
淡い黄色になった染液に糸を浸すと、その花の色をそのまま移して、透明感のある金糸雀(カナリヤ)色になりました。折れたミモザの、命の色です。
花言葉は、「秘密の愛」。4/9の誕生花。
参考サイト/文献
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.hana300.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ギンヨウアカシア
・http://ja.wikipedia.org/wiki/フサアカシア
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
・http://plant-name.seesaa.net/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 3」 北隆館
・「続々・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
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