イノコヅチ・裏の顔は柳煤竹
【学名】 Achyranthes japonika Nakai
【英名】 Japanese chaff flower
【別名】 フシダカ コマノフサギ
【科】 ヒユ科
日本全土、ヒマラヤ、中国、朝鮮半島に分布する多年草。名前の由来は「猪の子槌」で、茎にある大きなフシを猪の膝に見立てたところから。ヒカゲイノコヅチを「イノコヅチ」と称しますが、一回り大振りなヒナタイノコヅチというのもいます。
鎌倉でも、秋口になると、日陰の野原や空き地にその青黒い葉を勢いよく伸ばしているのが見られます。根は「牛膝(ごしつ)」と呼ばれる生薬で、煎じて服用すると、リウマチ、神経痛、月経不順に効果ありといわれ、またへそから下のできものに効くとされます。総じて通経作用が顕著で、悪血をとりのぞくとか。
その成分の中には,イノコステロン、エクジステロン、ルブロステロンなど多数の昆虫変態ホルモンが発見されており(ひょえーっ!!!)、消炎作用に関わっているとされますが解明はされていません。
特にイノコヅチが華麗な変態を遂げている様子は見られませんね・・・。
和漢三才図絵には堕胎薬として用いたことや妊婦は服用してはならないことが記されています。
虫刺されなどには、生の葉をよく洗いもんで、その汁を直接患部に塗布するとよいそうです。
若葉、若い穂はてんぷら、バター炒め、ごま和え、からし和えなどにして楽しめます。ですが、食べて変態しても、当方は責任を追いかねます。(笑)
茎・葉を煮出してみたところ、植物の見かけの青黒さを反映してか、なんと青みの灰色の液となり、銅媒染の麹塵(きくじん)色、鉄媒染の柳煤竹(やなぎすすたけ)色が特に美しかったです。
煮出していると、かなり土臭い匂いがします。
花言葉は、「二重人格」。秋の季語。
参考サイト/文献
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/イノコヅチ
・http://www.taimadera.org/
・http://www.t-webcity.com/~plantdan/index.html
・http://www.hana300.com/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「生薬101の科学」 清水岑夫/著 講談社
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第94巻
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
| 固定リンク | 0
「鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事
- ウイキョウ・妖怪召喚の蒸栗色(むしぐりいろ)(2024.11.29)
- カイヅカイブキ・昇り竜は萱草色(かんぞういろ)(2024.11.28)
- レモングラス・爽やかすぎる草色(2024.11.13)
- シークワーサー・南国発の淡黄色(2024.11.12)
- メラレウカ・ふとももパワーの漆黒(2024.10.30)
コメント