ナス・秋の名残の豆がら茶
【学名】 Solanum melongena L.
【英名】 eggplant,aubergine
【別名】 落蘇(らくそ)、崑崙瓜(こんろんか)、草鼈甲(そうべっこう)
【科】 ナス科
インド北部原産といわれます。日本には平安時代に中国を経て渡来、1000年以上栽培されている、もうニッポンのお野菜ですね。
学名のSolanum(ソラナム)は、ラテン古名の「solamen(安静)」が語源。この属の植物に鎮痛作用を持つものがあることから。(日本でも確かに、茄子の蔕を灰にしたもので歯痛を緩和する民間療法が伝わっている。)
実の味から「中酸実」(なかすみ)と呼ばれ、これが訛って「なすび」となったという説、夏に実がなるので「夏実」(なつみ)と読み、それが訛って「なすび」(奈須比)と呼ばれたとする説などがあります。
始めは貴重な野菜でしたが、江戸時代になると広く栽培されるようになり,和漢三才図絵には、青茄子、紫茄子、白茄子などたくさんの種類が紹介されており、また茄子の実や蔕(へた)を用いた民間療法も多数紹介されているのを見るにつけ、庶民に親しまれた野菜であることが分かります。
和漢三才図絵には「茄子の糠漬けを漬けるときは、4時間ほど水に漬けて渋みを抜き、その後水を切って塩を擦り込む。この時『これすなわち何時の塩なり』と呪文を唱えると色がきれいにあがる。これを馬鹿げたことと思ってはならない。」という愉快な記述も見当たります。お盆の頃に、道の軒先などでときどき見かける「精霊馬(しょうりょううま)」。ご先祖様が乗る馬はキュウリで、荷を引かせる牛がナスとされています。ちょっとかわいいですよね。死んだご先祖さんが黄泉に持って帰る荷物って、一体何かしら・・・。
カジュの裏庭の畑に茄子を植えたところ、思いのほかの良作でした。うまく剪定できたお陰で、秋まで実が採れ、大いに楽しみました。いよいよ実も終わる晩秋に、枝と葉を煮出してみたところ,実の色の名残のような青黒い液なり、どの媒染でも美しい緑みのグレーを得ました。
「秋なすは嫁に食わすな。」・・・和漢三才図絵は「美味しいので嫁に食わせない」説を紹介していますが、「カラダが冷えるので妊婦にはよくない。」「秋なすは種が少ない=子種が少ない=妊娠できない」ので嫁には食べさせないという説を私は支持したい。
果皮の色素はナスニン、加水分解してデルフィニジンを精製して、鉄やニッケルと反応して安定した塩になり、補血効果には市販のナスを、ミヨウバンと鉄クギを入れて漬けると効果あり。ミョウバンは色をよくするだけの働きではないらしいです。
俳諧では、夏の季語。
花言葉は「真実」。9/11の誕生花。
路地フェスタが終わったら,今年もナスを作付けします!
参考サイト/文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ナス
・http://www.e-yakusou.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.hana300.com/
・http://ejje.weblio.jp/
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第100巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「新和英中辞典」 研究社
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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