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2015/07/22

ビーツ・ほろ苦い樺茶色

Beet01 Beet02

【学名】   Beta vulgaris ssp. vulgaris var. vulgaris(テーブルビーツ)
【英名】   beetroot, red beet,table beet 
【別名】   カエンサイ(火焔菜)   
【科】    アカザ科

南ヨーロッパ原産。江戸初期に日本に渡来した越年草です。日本名はカエンサイ(火焔菜)。現在では、南欧、南米、地中海域などで広く栽培されています。

和漢三才図絵によりますと、「農政全書」を引いて、「火焔菜は人家の畑に多く植える。苗、葉はホウレンソウに似ている。ただ、葉はやや微紅で、形は火焔のようである。子(実)もホウレンソウに似ている。苗、葉の味は甘く、性は寒冷である。」という記述が見当たります。
これから察するに、江戸時代は根ではなく、ホウレンソウのように葉を食していたのでしょうか。

根から砂糖をとるために、明治初期に北海道の開拓地に大量に導入されたサトウダイコン(Beta vulgaris vulgaris L  )=甜菜は同じ仲間ですが、見た目はかなり異なります。

NO3(硝酸塩)を多く含むビーツには一酸化窒素を生成する働きがあり、これが筋肉をやわらかくし、血管を広げます。極寒の地のロシアでボルシチに欠かせない野菜なのは、こうした理由によるものかもしれないですね。

2003年にロシアのシベリアで展覧会をした折、地元のアーティストのお家におよばれして、本場のボルシチをごちそうになりました。目にも鮮やかな濃いピンク色のスープに夏野菜がいっぱい! 夏にしか生野菜が手に入らないシベリアの人たちが、そのエネルギーを余さず取るぞ!という意気込みを感じる、素朴だけど、元気なスープ。飲んだ後写真を撮ってもらったら、きっと私、中からボルシチの色彩が輝いて、いつもより色鮮やかに写っていたに違いない。(笑)

Beet04 Beet05_2

脱塩効果もあり、生のままジュースにすると効果大。ヨーロッパではビーツのジュースも売られています。冬の長い北ヨーロッパは塩蔵品が多いですから、きっと私たちが考える以上に大切にされている野菜なのでしょうね。

Athlete

友人が鎌倉の植木に無農薬農園を営んでいて、去年、はじめて実ったというビーツを分けてもらっいました。よーし、鎌倉野菜といっしょに「鎌倉ボルシチ」! 友人に教えてもらった通りにまずは下ゆで。

根球の皮を剝いただけで、手が劇的に赤く染まってびっくり。下ゆでをした液は、まっかっか!  これを見て染めてみたいと思わなきゃ、染織家とは申せません。そのゆで汁に、剝いた皮をいれてさらに煮て染液に。目も覚めるような濃厚な牡丹色だったのですが、数時間置いてしまったら、茶色く変色・・・。すぐ染めるんだった! 

赤は狙えないと思いましたが、アクの強さから堅牢な色は取り出せそうだぞ、と気を取り直して試染したところ、食べたときに口に残るほろ苦さが色に反映して、アルミで黄橡(きつるばみ)から生壁色(なまかべいろ)、銅、鉄で樺茶色(かばちゃいろ)。媒染違いによる色の振り幅はあまり大きくないようです。

次に機会があったら、時間を置かずに染めてみます。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/テーブルビート
http://ja.wikipedia.org/wiki/テンサイ
http://www.shunkashusai.com/shop1/beets.html
http://www.beetit.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」 第94巻
・協力 : 髙木素子氏

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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