ジャスミン・夏の夜の甘美な伽羅色
【学名】 Jasminum officinale L.
【英名】 Jasmine
※ソケイ(素馨 Jasminum grandiflorum)はSpanish Jasmine
マツリカ(茉莉花 Jasminum sambac)はArabian Jasmine
【科】 モクセイ科
初夏になって鎌倉の住宅街を歩くと、風にほのかな甘い香りが乗ってくることがあります。
最近では日本でもすっかり庭木として定着したジャスミン。よく植えられているのは「羽衣ジャスミン」という種類。ジャスミン茶にはいっている乾燥の花は、マツリカと呼ばれる種類で、この他にインドで広く栽培されているソケイという種類もあります。ちなみに、ヒンズー語ではジャスミンのことをモグラというそうですよ。(笑)
インドの伝統的医学アーユルベーダでは、古くからジャスミンは「子宮のハーブ」と言われ、生殖機能を高めるものとされてきました。難産の時に使用したり、生殖器系の治療にも用いられ、月経痛PMS、不感症などにも用いるそうです。また泌尿器にもよい効果があるとか。
総じて、温めて、機能を回復させ、うっ血を除去するということらしいですね。まとめると、
血液浄化作用 | 抗細菌作用 | ホルモン調整作用 |
抗うつ作用 | 鎮静作用 | 保湿作用 |
催乳作用 | 分娩促進作用 | 性的強壮作用 |
子宮機能強壮作用 | 催淫作用 | 通経作用 |
神経バランス作用 | 興奮作用 | 抗菌作用 |
ベニバナやアカネなど、やはり女性特有の病気に効果のあるハーブ(そして染料)。私はどうも、煮出しているときの香りが「ヲンナの業」を感じる「身につまされる」感じがして苦手なのですが、ジャスミンは、ずっと浸っていたいと思える香りです。ということは、私のカラダに必要、ということでしょうか。
稲村ケ崎に住んでいる工房のスタッフが、お庭にある羽衣ジャスミンの花が終わったからと、葉と蔓を剪定して持ってきてくれました。煮出してみると、ほのかにジャスミンの香りが蒸気に漂い、染液はピンク色に!! なんか、すべてがガーリー、うふっ。
残念ながら、そのままピンクが染まってくれるという事はなかったのですが、アルミ媒染でその液の色を少しとどめてやさしい伽羅色(きゃらいろ)になりました。銅で利休茶、鉄で媚茶色(こびちゃ色)。
羽衣ジャスミンの花言葉は、「官能的な愛」。
ソケイの花言葉は、「肉欲」「好色」。
マツリカの花言葉は、「清浄無垢」。
園芸種で人気のマダガスカルジャスミンは「二人で東方へ旅に」
アラブ文化圏では「ヤスミン」は最もポピュラーな女の子の名前。アルフレッド・ヒッチコックがその昔、理想の女性を「昼は腕を組んで歩きたくなるような淑女のようで、夜はベッドで娼婦に転じる女」と言ったそうですが、いやぁ、ジャスミンたちの花言葉を総合すると、そんな女性像がみえてきますねぇ。
ま、そう都合よくは参りませんけどね、男性諸氏。相手の男性にもよるんで。
参考サイト/文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ジャスミン
・http://ja.wikipedia.org/wiki/マツリカ
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ソケイ
・http://www.hana300.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://ejje.weblio.jp/
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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