フヨウ・秋を告げる夏美人の枯茶色
【学名】 Hibiscus mutabilis L.
【英名】 cotton rose, Confederate rose, dixie rosemallow
【別名】 モクフヨウ(木芙蓉)
【生薬名】 木芙蓉
【科】 アオイ科
もともと九州南部、沖縄、中国亜熱帯に分布している植物でした。なので観賞用に栽培されたものが容易に野生化します。工房近くの二階堂川の川縁にも、野生化したフヨウの株がいくつか見られます。
中国では「芙蓉」は「蓮の花」を指すため、区別して「木芙蓉」といいますが、日本では芙蓉といえば木芙蓉のことを指します。朝に咲き、夕方には萎んでしまう一日花。平安の昔から昔から、「美しい人のたとえ」に用いられている花で、美しくしとやかな顔立ちのことを「芙蓉顔」というそうです。
品種のひとつ、酔芙蓉は、朝のうちは純白、午後には淡い紅色、夕方から夜にかけては紅色になります。酒を飲むと顔色がだんだんと赤みを帯びるのに似ていることからこの名がついたといわれます。なんて色っぽい。どこかに咲いていないかしら。
和漢三才図絵には「花は牡丹、芍薬に似て、紅のもの、白いもの、千葉(やえ)のものなどがある。寒にはたいへん強く、落花せず実も結ばない。皮をとって索(なわ)にする。葉・花は肺を清くし、血を涼しくし、熱を散じ、毒を解する。一切の癰疽(ようそ)、悪瘡を治す。葉と花の煎じ汁を服用し虫下しに用いる」等の記述が見当たります。
縄をなえるほど皮が丈夫だとは気づきませんでした。この花の美しさは、強さに裏打ちされたものなのですね。
花の盛りが過ぎた9月の初め、野生化していた芙蓉の茎・葉を煮出してみました。液は、その花の涼やかさとは裏腹に、濃い赤茶となり、どの媒染でも、深い秋を思わせる美しい数種の茶系の色を得た。中でも銅媒染の枯茶色が美しいです。
真夏の花の少ない時期にアオイ科独特華やかな花を涼しげにつけますが、俳諧では秋の季語。
花言葉は、「しとやかな恋人」「繊細美」「微妙な美しさ」。
10/17・11/6・11/10の誕生花。
参考サイト/文献
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/フヨウ
・http://ejje.weblio.jp/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.hana300.com/
・http://www.geocities.co.jp/junfumihp/suifuyo.htm
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第84巻
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
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