イタドリ・酸っぱいイエロー
【学名】 Polygonum cuspidatum, Fallopia japonica
【英名】 Japanese knotweed, Japanese fleeceflower, Mexican bamboo
【別名】 イタズリ、ゴンパチ、サシボ、ドングイ
【生薬名】 虎杖(こじょう)
【科】 タデ科
痛みをとる効能があることから「イタドリ」と呼ばれるようになったという説、茎から繊維をとったので「イトドリ(糸取り)」と呼ばれ、これが転じて「イタドリ」になったという説があります。
日本各地、朝鮮半島、中国に分布する多年草。以前ブータンを訪れた時、首都ティンプー周辺でもたくさん見られました。茎に竹のような節があり繊維が豊富です。雌雄異株。
春先の若い茎葉は、生食、皮をむいてから水にさらして灰汁抜き後、酢の物、和え物、炒め物で。芽吹いたばかりの新芽は天ぷらで。茎はすっぱさを生かしてジャムにするのもよいです。(ルバーブ風のジャムができる! 繊維が口にさわるので、若い茎を使います。ちなみにルバーブも同じタデ科です。) 但し、酸っぱさはシュウ酸なので、多食は避けましょう。茹でて下ごしらえするとぬけますが、酸っぱさも消えてしまうので、熱湯にくぐらす程度で。
・イタドリの醤油漬け
1.皮をむいた茎を縦に適当に割り、小口からななめに少し小さめに切り、熱湯にくぐらせる。
2.醤油+みりん+出汁のつけ汁を3割〜4割浸かる程度入れて冷蔵庫で1〜2日おく。
冷蔵庫で長期保存可。酸っぱさが美味みに変わって珍味。
戦時中は葉を乾燥させたものをタバコの代わりにしていたという話も耳にします。
秋から冬にかけて根を掘り、これを乾燥させたものを生薬で「虎杖根」といいます。漢方では、緩下薬、利尿薬、通径薬として常習便秘や老人の下痢、膀胱炎、膀胱結石、月経不順、リューマチ、閉経に煎じ薬にして用います。和漢三才図絵には「月経を通し、(妊婦は用いてはならない。)、五淋(5種類の 膀胱の病)を治す。渇きを止め熱毒を解する。根を甘草にまぜて一緒に煎じて飲む。色は琥珀のようで愛すべきものである。大へん甘美である。瓶を井の中に置いて冷やして氷のようにし、これを冷飲子と呼ぶ。これをすすって茶よりも尊ぶ。よく暑毒を解する。」とあります。
鎌倉の野原にも春先になると、にょきりにょきりとイタドリが冬の眠りをいち早くやぶって生え出します。その頃の色は、総じて緑ががかった黄色、うぐいす色などですが、夏から秋にかけてはだんだん赤みを増してゆくようです。
夏に葉と茎を煮出したところ、大変濃い液となり、アルミ、錫で赤みの黄色、銅で切れのある茶色、鉄で深い焦げ茶色を染め上げました。根を掘って干しておけば(虎杖根)、一年中染められます。
花言葉は「回復」。
「虎杖」が春の季語、「虎杖の花」が夏の季語。
参考サイト/文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/イタドリ
・http://www.e-yakusou.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.hana300.com/
・http://ejje.weblio.jp/
・http://hana-zukan.net/
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第94巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「食べる薬草事典」村上幸太郎/著 農分協
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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