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2015/08/17

ヘクソカズラ・亜麻色は臭くって。

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【学名】  Paederia scandens Merrili
【英名】  Skunk vine
【別名】  ヤイトバナ(灸花)、サオトメカズラ、サオトメバナ、ウマクワズ(馬食わず)
【生薬名】 ケイシトウ(鶏屎藤) ケイシトウカ(鶏屎藤果=実) ジョセイ(女青)
【科】   アカネ科

学名のPaederia(パエデリア、ペデリア)は、ラテン語の 「paidor(悪臭)」が語源。 実際、これがなかなか臭い!

日本、アシア各地に自生。 比較的日当たりの良い場所で、他のものにからみつきながら繁茂して、よく見られる蔓性(つる)の多年草です。万葉集にも詠まれていることから、古くから日本にあるようですね。古名はクソカズラ。クソでもう充分なのに、後世の人、さらに「屁」をつけて、徹底的にいたぶるなんて。泣きっ面に蜂、ヘクソカズラに屁をこく仕打ち。英語名もずばり「スカンクの蔓」ですから、誰がなんといっても臭い!という宣言ですね。
別名のヤイトバナ(灸花)は、花の中心が赤く、灸をすえた後のように見えることから。

和漢三才図絵には「女青」の名で「人が急死した場合、女青(ヘクソカズラの根を乾燥させたもの)を搗き(つき)、屑一銭(約3.75g)を喉咽の中におき、水あるいは酒を注ぎ腹中に送る。立ちどころに活きかえる。」とあります。おお、死人もびっくりして蘇る臭いですか!
また「瘟疫(おんえき=熱のでる悪性の伝染病)をはらう。(正月の上寅の日、女青を搗いて粉にし、三角のもみ袋に入れて帳中(とばりのなか)に繋いでおくと大吉である。)」とあります。にんにくの臭いでドラキュラを追い払うみたいですね。。

しもやけ、ひび、あかぎれなどには、生の果実を良く水洗いしてから、つぶして、市販のハンドクリーム5に対して果実1の割合で、よく練り合わせます。 患部に厚く塗りガーゼなどで押さえておき、朝夕1日2回くらいは取り替えます。 皮膚にうるおいが出て驚くような作用があるそうです。 たぶん、臭いけど。

水でよく洗った果実10〜20gをつぶして、アルコール250ccを入れて、1週間くらい冷暗所に置いて数回攪拌。これにグリセリン200ccを加えて、その後水を加え1ℓにして化粧水として使うのもよいそうです。たぶん臭いけど。

乾燥した根茎を刻んで煎じ服用すれば、腎臓病、かっけ、下痢止めなど効果。

花盛りのつると葉を花ごと煮出してみました。期待を裏切らない、ヘクソカズラのプライドさえ感じるかなりの悪臭でした。が、その個性とは裏腹にどの媒染でもやわらかな色合いに。アルミでやさしい亜麻色、銅で媚茶(こびちゃ)色、鉄で海松色、媚茶色。

花言葉は、「人嫌い」。俳諧では、夏の季語。
9/9の誕生花。

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http://www.hana300.com/
http://www.e-yakusou.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヘクソカズラ
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
http://www.weblio.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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