ヨウシュヤマゴボウ・豪奢なマダムは山吹茶
【学名】 Phytolacca americana L.
【英名】 American pokeweed.
【別名】 アメリカヤマゴボウ
【生薬名】 木芙蓉
【科】 ヤマゴボウ科
学名のPhytolacca(フィトラッカ)は、ギリシャ語などの「phyton」(植物)+ 「lacca」(紅色の顔料)」が語源。液果に、紅色の汁を含むことから。
明治時代のはじめに観賞用に持ち込まれ、以来、野生化していった帰化植物。秋口にブドウ状につく実が黒紫に熟します。関東地方以西~四国~九州の山地に自生する、マルミノヤマゴボウに実が似ていることからこの名になりました。
漬け物にして食べる「ヤマゴボウ」はアザミの根で、全くの別種。ヨウシュヤマゴボウは、葉や根に硝酸カリ、根にサポニンの一種フェトラッカサポニンEなど有毒物質が含まれ、食すと下痢、嘔吐、発疹、全身麻痺、呼吸困難などが起こるので注意が必要です。中国では下剤として用いるといいますが、素人は試さないほうがよいでしょう。
黒々とした実の房をシャンデリアか大きなイヤリングのようにぶら下げ、赤い茎と対照的に蒼々と大きな葉を豪奢に茂らせる様は、まるで、ロートレックの絵に出てくる娼館のマダムの風情。夜な夜な男たちに夢を売り、水も甘いも噛み締めたしたたかさを備え、でもこよなく愛しいと思わせる毒の華・・・。
黒紫に熟した色素はフェトラッカニン。無毒ですが、やはり食べないほうがよいでしょう。
この実の液は、赤インクの代用品に使われたり、食品着色料として、アメリカでは昔、安物のワインの色づけに使われたこともあるそうです。
熟した実のついた茎、葉を煮出してみたところ、アルミ媒染でウールが、深みのある山吹茶色に染まりました。実が熟す前の若い茎葉は、もう少し緑がかった色味になったので、それをアルカリ抽出すれば、濃い緑系の色が得られるかもしれません。
花言葉は、「野生」「元気」「内縁の妻」。
9/16の誕生花。
参考サイト/文献
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ヨウシュヤマゴボウ
・http://ejje.weblio.jp/
・http://www.eattheweeds.com/can-be-deadly-but-oh-so-delicious-pokeweed-2/
・http://www.hana300.com/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる山菜大図鑑」今井國勝・今井万岐子/著 永岡書店
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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