« アメリカセンダングサ・したたか者の赤錆色 | トップページ | クチナシ・不屈の鶸色 »

2015/09/05

ヨモギ・困ったときの若草色

Yomogi04

【学名】  Artemisia vulgaris L.var.indica Maxim   Artemisia princeps Pamp.
【英名】  Jaoanese mugwort
【別名】  モチグサ(餅草)、モグサ(艾)、サシモグサ(指燃草)
【生薬名】 艾葉(がいよう) 
【科】   キク科

 

本州、四国、九州、小笠原および朝鮮半島によく生える多年草。ヨモギの語源は。「善萌(よもき)草」=よく萌え出でる、という説と「善燃(よもき)草」の意で、お灸に使うとよく燃えるからいう説があります。モグサは、ヨモギの葉の裏に生えた毛を集めて作ります。

・乾燥させたヨモギの葉をザルに入れ、
・上からササラで擦りつぶすようにして濾すと、ザルの下に毛だけが落ちる。
・葉が混じっていると、火を付けたときに炎が上がるので注意。
・葉の混じらない、白いモグサほど高級品とされる。

Yomogi08 Yomogi07

端午の節句に、ショウブ(菖蒲)とヨモギを風呂に入れたり、軒に差したりするのは、昔話「食わず女房」に由来。メシを食わぬ女を嫁にした男が、夜中に、アタマの上にある口に握り飯を放り込む嫁の正体(山姥)を見てしまい、山姥に追いかけられるが、菖蒲と蓬の茂みに隠れたところ、山姥は近づけず、命が助かったというお話です。その日がちょうど端午の節句の日であったことから、この風習が生まれたとか。うーん、あながち作り話ではなく、ほんとにいたのかもしれません、頭に口のある山姥・・・。

「モグサをつくるのは、端午の節句の日(5月5日)がよい、若葉をとって草餅にするのは上巳の日(3月3日)がよい。」と和漢三才図絵にはあります。

なんといっても、日本人にとっては民間薬の王様。困ったときのヨモギ頼み。

ヨモギには、カルシウムなどミネラルが豊富に含まれているので、春先の若葉は湯がいて草餅に、また和え物、天ぷら、ふりかけなどに。乾燥させてお茶にするのもおすすめ。お風呂に入れれば体を温めます。胆汁分泌促進、食欲増進、止血、冷えによる腹痛、胸焼け、下痢、便秘に効果絶大。根は乾燥させたものを焼酎に浸けてヨモギ酒にしておくと、ぜんそくに効果があります。クロロフィル(葉緑素)による殺菌作用、免疫のインターフェロン増強作用もみとめられていて、まさに無敵の生薬です。

春の若葉をアルカリ抽出して、アルミや銅で媒染すると澄んだ碧色が出ることが知られていますが、中性水で抽出しても、アルミで若草色がでます。秋に花が咲くまでは、どの色も透明感があり、堅牢です。煮出しているときのキク科独特の芳香が心地よいです。

花言葉は、「静穏」「幸福」「平和」「夫婦の愛情(英)」「楽しい旅(仏)」。2/29の誕生花。俳諧では、「艾草(がいそう)」「餅草」「も草」「やき草」「さしも草」「蓬生(よもぎう)」「蓬萌ゆ」「蓬摘む」などで春の季語。

Crowed_sign_2

参考サイト/文献

http://www.hana300.com/
http://www.e-yakusou.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヨモギ
https://ja.wikipedia.org/wiki/食わず女房
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
http://www.weblio.jp/
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第94巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
・「薬草の自然療法」 東城百合子/著 池田書店
・協力: 村山恵子氏

| |

« アメリカセンダングサ・したたか者の赤錆色 | トップページ | クチナシ・不屈の鶸色 »

鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« アメリカセンダングサ・したたか者の赤錆色 | トップページ | クチナシ・不屈の鶸色 »