アメリカセンダングサ・したたか者の赤錆色
【学名】 Bidens frondosa L.
【英名】 Devil’s Beggarticks, Begger-ticks, stick-tight
【別名】 セイタカウコギ、クンショウグサ
【科】 キク科
北米原産の一年草の帰化植物。大正時代に渡来しました。日本では関東以西によく見られ、鎌倉でもここ数年よく見かけます。
ススキやノゲシなどとともに秋の野原に生え、花弁のない黄色い花が点々とする様が秋らしさを演出します。
二階堂の永福寺跡の野原にも秋になると、このアメリカセンダングサの小さな黄色の花がてんてんと刺し色になって、風景に可憐なアクセントをつけているのを見かけます。
学名のBidens(ビデンス)は、ラテン語の 「bi(二)+dens(歯)」が語源。 実に、「歯」のような形のとげが2本あることに由来します。
「アメリカセンダングサ」は中井猛之進さん、別名の「セイタカウコギ」は牧野富太郎さんの命名によります。よく似た日本古来種のタウコギ(田五加木)から発想したのですね。
英語のbeggar-ticksは「うるさい乞食」または「乞食のダニ」の意。これは、秋にはじけるトゲのある種が衣服に着いて運ばれる様から来ているのでしょう。たしかに、「アーン、もう、しつこいんだからぁ。」といいたくなるぐらい、気がつくと服のあちこちに「ぴとっ」と種がついています。うるさいと言われようが、ダニと呼ばれようが「あなたについてゆきます!」という捨て身の覚悟、いじらしさ、したたかさが、日本の野原にススキに負けぬ勢いで君臨する強さの源・・・演歌魂です、いや、アメリカだからカントリーか。
その演歌気質のせいか、たいへん堅牢な染料で、量があればどの素材にもよく染まります。アルミで黄色各種、銅媒染で赤錆色、鉄媒染で、ひき茶色、黒など。どれもコブシのきいた唸り(うなり)を感じる色です。
自分は断りなくまとわりつくくせに、花言葉は「近寄らないで」。
参考サイト/文献
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://www.t-webcity.com/~plantdan/souhon/syousai/a-gyou/a/ameriasenndanngusa/amerikasenndanngusa.html
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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