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2016/09/05

マタタビ・骨抜きの黒紫

Matatabi01 Matatabi02

【学名】  Actinidia polygama Planch. et Maxim.
【英名】  Silver-vine
【別名】  ナツウメ / マンタブ(青森/秋田)、コツフラジ(岐阜)、
      マタタンプ(アイヌ)、ネコナブリ(鹿児島)
【生薬名】 天木実(てんもくじつ=虫こぶ化していない実)
      木天蓼子(もくてんりょうし=虫こぶ化した実) 
        天木蔓(てんもくつる=蔓)
【科】    マタタビ科

 

北海道を含む日本全土の産地の林縁に見られる落葉つる性木本。雌雄異株。

夏に、半夏生のように、一部の葉が白くなるので、遠目にもよく目につきます。6〜7月に白い花をつけ、そのあと実を結びます。
正常果はナツメに似た形をしていますが、マタタビミタバエが実に産卵することで、マタタビミフクレフシという虫こぶとなります。

この虫こぶは秋に採取して、熱湯をかける、又は短時間蒸してから、天日で充分乾燥させたものを生薬で木天蓼(子)といいます。(正常果(天木実)より効能が高いとされる。)

和漢三才図会には「痛風による顔の痙攣、気塊(気の滞り)、女子の虚労を治す」とあります。

マタタビ酒の作り方
・木天蓼(もくてんりょう)500g
・ホワイトリカー1.8リットル
・グラニュー糖か氷砂糖またはハチミツ100g
これを広口瓶に入れて3〜12ヶ月冷暗所に漬け込む。

布でこしてから1回量0.15gを毎日朝夕2回に分けて服用すると、冷え性、神経痛、リューマチなどに効き目があり、利尿、強心の効果を表す。
※塩漬け、砂糖漬けでも同効果。

名前の由来には諸説あります。
1.疲れた旅人が、この実の香りで元気になり、「また旅ができる」ようになることから。

2.果実に2種類あるので(恐らく正常果と虫こぶ)「マタツ実(ツは休め字)」と読んだ。

3.アイヌ語の「マタタンプ」による。「マタ」は冬、「タンプ」は亀甲を意味し、冬に木にぶらさがる虫こぶの様子を意味している。

乾燥した茎葉を袋にいれて浴剤として用いると、保温、疲労回復、腰痛、熟睡安眠の効果あり。 若葉は、さっと湯がいて味噌和えに。

マタタビに含まれるマタタビ酸 という成分が、動物の神経中枢を麻痺させる働きがあり、これが俗にいう「猫のマタタビ踊り」を引き起こします。

2016年8月上旬、長野県茅野市を走行する車に乗せてもらっている時に、崖の山肌に、半分白い葉を茂らせた木を発見! もしやと思い、車をとめてもらって確認したところ、マタタビで大当たり!
しかも、虫こぶがゴロゴロなっている!

後日、改めて拾い集めてもらったそれらの虫こぶを煮だしてみました。五倍子の名で知られるヌルデの虫こぶやブルーブラックのインクの原料となる没食子など、虫こぶは鉄媒染で美しい黒が得られることが多いので、ワクワクして糸を入れてみたところ、期待に違わず、藤鼠から黒紫を染め上げました。染色人、メロメロ。もう、マタタビ踊り!(時間が経過したら、少し緑味に変化)

アルミでは蒸し栗色、銅では利休茶

量に対して、少し色が期待したより薄かったのは、採取してから3週間以上経過していて、かなり発酵していたせいかもしれません。この次はフレッシュをぜひ!

花言葉は「夢見る心地」。夏の季語。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/マタタビ
http://www.sansaikinoko.com/matatabi1/riyou.html
http://www.e-yakusou.com/
http://karinninja.janken-pon.net/
http://www.e-yakusou.com
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「虫こぶ入門」薄葉 重/著 八坂書房
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第84巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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