シラン・アジアンビューティーな草色
【学名】 Bletilla striata Rchb.fil
【英名】 Hyacinth orchid
【別名】 ベニラン、ケイラン
【生薬名】 白及(びゃくきゅう)
【科】 ラン科
学名の「striata 」はラテン語で 「縞模様」の意味。葉に筋が立っている様子からでしょうか。「Bletilla」(ブレティラ)は、スペインの薬剤師の名前から。
ラン科の多年草。観賞用に栽培されてきましたが、関東以西には自生もみられます。ただし、近年では自生種は近年危惧種となっています。
春から葉が出始め、茎が立ち、初夏に東洋蘭独特の可憐な赤紫色の花をつけます。香りはあまりないですね。栽培種には白や黄色の花をつけるものもあるそうです。地下には少し偏平な形をした仮鱗茎があって、1年ごとに1球づつ増えていきます。 ちょっと油断していると、自宅の庭で、しずかーに勢力を広げています。
鱗茎(りんけい・白きゅう)を8~11月頃に掘り採り、茎、ひげ根を除き、水洗いした後、蒸して(または熱湯をかける)から外皮をはいで、天日で乾燥させたものを生薬で白芨(びゃくきゅう)と呼びます。噛むとやや苦い味がするんだそうです。
粘液質が多く皮膚や粘膜を保護する作用があり、保護により痛みを止めたり、腫れを治したりします。また、内外出血にも止血作用があり、喀血、止血、鼻血、胃、腸の穿孔にも用いられるそうです。外用には、火傷には粉末を油、あかぎれには水で練って塗るとよいとか。おお、領土拡大勢力を少し抑える意味でも、試しにちょっと根を掘ってみますか!
これみよがしな派手さはないものの、東洋蘭のきりりとした美しい容姿に、隠れた高い効能・・・このアジア美人、なかなかやりおる。
花盛りのときに全草を採取して煮出してみました。特筆すべきはアルミ媒染のウールの鮮やかな黄色。銅媒染で草色、鉄で柔らかな柳茶、木蘭色。
花言葉は、「あなたを忘れない」「お互い忘れないように」「美しい姿」「変わらぬ愛」「薄れゆく愛」。
夏の季語。 5月6日の誕生花。
参考サイト / 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/シラン
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.hana300.com/
・http://www.hanakotoba.name/
・https://lovegreen.net/languageofflower
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第93巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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