トウモロコシ・世界のキーワードは蒸栗色
【学名】 Zea mays L.
【英名】 Corn, Maize
【別名】 トウキビ、コウライキビ、サツマキビ、ナンバン
【生薬名】 玉蜀黍(ぎょくしょくしょ)
南蛮毛(なんばんもう=ヒゲ)
玉蜀桼蕊(ぎょくしょくきずい=ヒゲ)
【科】 イネ科
世界三大穀物(小麦、米、トウモロコシ)のひとつ。熱帯アメリカ原産。コロンブスがアメリカ大陸を発見した際、カリブ人が栽培していたトウモロコシを持ち帰ったことでヨーロッパに伝わりました。
日本には1579年にポルトガルから長崎にもたらされました。
トウモロコシの粒の数は、1本に約600~700個あるそうです。また、ヒゲの数は粒の数と一致するそうですよ。
トウモロコシのヒゲは古くから知られた漢方薬で、利尿、腎機能の改善、むくみ、黄疸、肝炎、胆のう炎、胆血石、糖尿病の改善などで、薬理試験でもすぐれた利尿作用、血圧降下、末梢血管拡張作用が確認されています。また毛を発酵させたものには、顕著な血糖降下作用が認められています。
トウモロコシ油(トウモロコシの胚芽からとった油)は、リノール酸が約60%含まれ血圧降下、高血圧の予防や軟膏の基剤、注射薬の溶剤に使用されています。
和漢三才図会にも「古(むかし)は我が国にはなかった。蛮船が持ってきた。顆々(つぶつぶ)がむらがりあつまり、(中略)黃白色で焼き炒って食べる。白い花の形にはぜさけて、はぜたもち米の状(さま)に似ている」と 、ポップコーンのように食べていた様子が書かれています。また、根や葉を煎じて服用し尿路結石を治すという記述も見当たります。
19世紀半ば、肉質の硬かったロングホーンに代わって、肉質の柔らかいアンガスという肉牛が普及しました。
しかし、その肉質を柔らかくするには、それまで牛の餌だった「草」に代わって、トウモロコシやダイズなどの「穀類」を大量に与えなければならないのだそうです。
1997年のデータですが、その年生産されたトウモロコシは6億トン。そのうちのなんと4億トンが家畜飼料になっていました。(今は生産量、飼料ともにもっと多いことでしょう)
当時の世界人口はおよそ58億(2015年現在で73億強!!)、そのうち8億が飢えで苦しんでいると言われていました。もし、家畜に回されているトウモロコシのわずか10%を食用に回すことができれば、この飢えの問題を解決できたそうです。
飼料だけでなく、トウモロコシはバイオ燃料の原料にも使われていて、飼料問題と合わせて、早急な代替え案が必要だと思います。食べられない人がいるのに、柔らかい牛肉でもないもんだ。
肉、硬くもいいぢゃないですかねぇ。日本には様々な「発酵の知恵」があるのです。いくらだってお肉を柔らかくする調理法はありますわ。
裏庭の畑に飢えた4株のトウモロコシ。収穫が終わった茎葉を煮出してみました。アルミで蒸栗色(むしぐりいろ)、銅で根岸色(ねぎしいろ)や鶯色、鉄で利休鼠。
花言葉は、「洗練」「デリカシー」「財宝」「豊富」「同意」。
8月4日、8月7日の誕生花。
参考サイト / 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/トウモロコシ
・http://www.hana300.com/
・http://www.hanakotoba.name/
・http://www.language-of-flowers.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・NHKスペシャル 世紀を越えて 豊かさの限界 第1集 「一頭の牛が食卓を変えた」
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第103巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
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