ハラン・日本料理の友は蒸栗色
【学名】 Aspidistra elatior
【別名】 バラン(馬蘭)、ヒロハ、センツバ、シキク(紫菊)
【英語名】 Cast-Iron Plant, Barroom Plant
【科】 ユリ科
中国原産の常緑多年草。日本には江戸時代初期に渡来しました。
原色牧野日本植物図鑑には、「西南諸島の黒縞に自生する」という記述も。
一年を通して青蒼とした葉がしげるので、観葉植物として人気。地植えでも日陰でよく育ちます。
学名のAspidistra(アスピディストラ)は、ギリシャ語のaspidion(小楯)+ aster(星)が語源。恐らくは初夏に開花する花(茎の根元につく)の形に由来すると思われますが、なかなか花がさいているところに出くわしません。
英名のCast-Iron Plant=鋳物のような植物は、硬い葉の様子からでしょうね。
一方のBarroom Plantは「酒場の植物」・・・なんでだ?!
和漢三才図会には「馬蘭」の項に記載あり。中国産のバラン(キク科コヨメナ)に対して「倭ノ馬蘭」として紹介されています。
長年、花粉が、カタツムリやナメクジによって媒介される蝸牛媒花(かぎゅうばいか)であるとされていましたが、近年、ダンゴムシの仲間やキノコバエによって媒介される説が出されました。いずれにしても、地味な日陰組に支えられているのですね。
葉は、殺菌効果があると言われ、日本料理の飾りにササとともに使われます。関東はササ、関西はハランを使うことが多いそうですよ。
図書館で、ちょっと日本料理のササやハランの飾り切りの本を借りましたので、自宅の庭にわっさわさと葉を茂らせているハランで練習してみました。たしかにハサミや包丁で細工がし易いです。お寿司などナマモノを長持ちさせるだけでなく、見た目に美しい一皿を作るために、職人さんたちが積んでいる修行がすごい!やってみてそれがよーくわかった!!
(写真出展こちら)
根茎を天日干ししたものを煎じて服用すると、利尿、強心、去痰、強壮などに効果があるとされています。
今年9月の末に、茂るがままにしていた自宅のハランの株分けをしました。近所のお友達にもらってもらうも、まだ余るので煮出してみました。染液はきれいな黄色に。
アルミで優しい蒸栗色、銅で青丹(あおに)色、鉄で老竹色。
花言葉は「強い意志」「強い心」「健康」「平癒」。11/30の誕生花。
◆参考サイト / 文献◆
・https://ja.wikipedia.org/wiki/ハラン
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・https://plaza.rakuten.co.jp/lilyandrose/diary/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」 第93巻 寺島良安 / 著
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「笹切り・葉らん切りの技法」 山崎博明 /監修 誠文堂新光社
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