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2019年1月30日

2019/01/30

ムクロジ・やさしい気持ちの柳茶色

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【学名】  Sapindus mukorossi Gaertn.
【英名】  Soapberry
【別名】  ツブ ツブノキ モクレンジ
【生薬名】 延命皮(えんめいひ=皮)
【科】     ムクロジ科

 

東北以南の本州、九州、四国、沖縄に分布。庭木や公園樹としてもよく植えられています。学名の「Sapindus」は、sapo indicus=インドの石鹸、の意味。英語ではまさに「石鹸の実」です。
ムクロジは、夏に青いまあるい実をつけますが、この実にはサポニンが多く含まれ、インドでは昔から石鹸として使っていました。
日本でも「エゴの実」同様、洗濯に使われてきました。インドネシアでも、バティックを洗うのに現在でも用いられています。
江戸時代の百科事典「和漢三才図会」にも、「子(実)の皮を煎汁にし、これで衣を洗うと垢がよくとれる。また水に漬けて管で吹くと泡が膨れるので遊戯にする。俗に奢盆(しゃぼん)という。」とあります。
テレビの時代劇で、子どもがシャボン玉遊びをしているシーンをみるにつけ、「石鹸がないのに、どうやってたんだ?!」と不思議に思っていたのですが、なーるほど、なるほど。

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秋になるとこの実は黄色くなり、さらに透き通ってシワが寄ってくると、中の球体の黒い種子を取ることができます。 和漢三才図会には、その種子は炒って食べられるという記述があります。お正月に遊ぶ羽つきの羽の頭に用いられているのも、この種子です。昔はこれで念珠も作っていたそうですよ。

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(写真中央出典) (写真右出典)

子どもの守り神である地蔵菩薩を本尊とする鎌倉の宝戒寺は、白萩が有名で、別名「萩の寺」として知られていますが、実は境内に見事なムクロジの大木があることでも有名です。
ムクロジは「無患子」とつづり、その種子を持っていると「子が患わない」といわれています。宝戒寺には、このムクロジの種を自分で選んで袋に詰めるお守りがあり、たいへん人気があります。

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実の皮を干して乾燥させたものを生薬で「延命皮」といいます。昔は、強壮、去痰薬として用いられていましたが、実に含まれるムクロジサポニンに、溶血作用があり、誤食すると胃腸障害や下痢を発症することが知られて、現在は用いられていません。

また和漢三才図会には「伝えによれば、この木で器物を作りそれを用いていると鬼魅(きみ=鬼や魑魅魍魎)を圧服させることができる。それで俗に鬼見愁(きけんしゅう)という。」さらに、「鬼を封じるのにムクロジで作った棒で叩いた神巫(かんなぎ)がいた」という記述も見当たります。 面白い。機会がったらなんか作ってみたいです。

夏の終わりに、宝戒寺さんにお願いして青い実を少し頂いてきました。染めてみたところ、どの媒染でもやわらかな色合いで、銅媒染の柳茶色(緑味の砂色)が特に美しいです。

鎌倉では宝戒寺のほかに、源氏山にある葛原岡神社にもムクロジの大木があります。

秋の季語。

◎参考サイト / 文献◎

http://ja.wikipedia.org/wiki/ムクロジ
http://www.e-yakusou.com/
http://nenjyu.com/?pid=3540011
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵第83巻」寺島良安 / 著  
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店

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アーティチョーク・トゲトゲ攻撃の利休鼠

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(写真左・中央 : 髙木素子氏)

【学名】  Cynara scolymus L.
【英名】  Artichoke, Globe artichoke
【別名】    チョウセンアザミ(朝鮮薊)
【科】     キク科

学名の「Cynara(キナラ)」は、ギリシャ語の「cyno(犬)」に由来。花のまわりのとげが、犬の歯に似ていることからとか。たしかに、怖いぐらいの刺々しい様相です。

チョウセンアザミ(朝鮮薊)が別名ですが、朝鮮原産ではなく、地中海沿岸地原産。江戸時代中期にオランダ経由で渡来し、栽培された記録が残ります。が、広まることはありませんでした。おっかなかったんでしょう、きっと(笑)。

つぼみ(花托と総包の多肉部)を食用とします。欧米では古くから食されており、古代ローマ時代には既に塩ゆでにして食べられていたといいます。近年、日本でもイタリア料理店などでメニューによく見かけるようになりました。アーティチョークのサラダ、美味しいですよね。

シナリン((Cynarine)という生理活性物質が発見されてからは、薬用への応用も注目されています。肝臓や胆のうの機能を高める、血中コレステロール値を下げる、抗リューマチ効果などのあることがわかっています。

また、欧米では葉を染料に用いることも知られています。

鎌倉市関谷で無農薬の畑をつくっている、ご存知、髙木素子師匠がこのアーティチョークをつくっていらして、花が終わった枯れた花托と、新鮮な葉をくださいました。いやいや、この花托、犬の歯を通り越して、古代の拷問器具のようですよ。これをパチンコで投げたら立派な武器ですよ。素手で触れませんよ!

煮出してみると、豆を煮るときのような香りがし、濃いうぐいす色の染液に。葉はとくに染料として優秀な様子。アルミ媒染で鮮やかな黄色、銅媒染でうぐいす色、鉄で美しい黒緑鈍色利休鼠
ヨーロッパで染料として知られただけあって、ウールの発色が特にいいです。

花言葉は「独立独歩」「傷つく心」。・・・ふむ、妙に納得。

◎参考サイト/ 文献◎

http://ja.wikipedia.org/wiki/アーティチョーク
http://www.flower-photo.info/products/detail.php?product_id=371
http://www.hana300.com/
http://yasashi.info/a_00029.htm
https://ja.wikipedia.org/wiki/シナリン
http://www.pfaf.org
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館

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