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2019年1月31日

2019/01/31

モモ・子孫繁栄の鶸色

Momo01

【学名】  Prunus persica (L.) Batsch (モモ)
      Prunus persica (L.) Batsch forma (ハナモモ)
【英名】     peach
【別名】  ミキフルグサ、ミチトセグサ
【生薬名】 桃仁(とうにん=種)、白桃花(はくとうか=つぼみ)
【 科 】    バラ科

中国原産。学名にある「persica」は、ペルシャのことで、中国から紀元前に伝わったものがその後ギリシャやローマに伝わり、ギリシャの博物学者テオプラストスが、モモをベルシャの果物と思ったことが後の近代ヨーロッパに定着し、学名に影響したそうです。

中国では、モモの実は邪気を払い、また不老不死の妙薬とされてきました。「西遊記」で孫悟空が食べるエピソードにも、この背景があります。

日本には弥生時代に伝わりました。
桃は股(もも)のことで、そこから子がうまれ、子孫の繁栄するめでたいシンボルとされました。桃太郎の物語もそれが背景です。

日本の神話は、弥生文化によって伝わった話がもとになってできたと考えられます。ギリシャやローマの神話に酷似したエピソードか多くみられるのも、中国経由で弥生時代にギリシャ/ローマ神話が形を変えて広まったからという説があります。オルフェウスが死んだ妻エウリュディケを連れ戻そうと冥界に行くお話は、イザナギが死んだイザナミを黄泉の国に連れ戻しに行くお話とそっくり。
『古事記』では、変わり果てたイザナミの追手をのがれたイザナギが、黄泉比良坂でモモの実を3つ投げつけ悪鬼を祓ったとあります。ここでモモの実が登場するのは中国の影響でしょうか。このエピソードから、モモの実は生命の実(さね)という名が与えられました。

古い神社の家紋にモモが見られるのは、この故事に由来するものと思われます。

Momo02 丸に葉敷き桃(和歌山県・須佐神社)

生薬では、種の仁を「桃仁」といい、杏仁に準ずる働きをするものとされ、煎じて服用すると、産前、産後、血の道、月経不順、更年期障害に効果があります。
蕾を乾燥させた白桃花は、下剤として用います。和漢三才図会にも白桃花は「悪鬼を殺し、大小便の通じをよくし、ニキビやソバカスを治す。」とあり、実については「多食すれば腹が張り、腫れ物ができる。害あって益なし。」とあります。 あまりに美味ゆえ、みんなが食べないように戒めているのでしょうか・・・。

あせもには、新鮮な葉をとってよく水洗いして乾燥させ、風呂にいれて入浴するとよいことはよく知られています。 ただし、乾燥していない葉は、青酸化合物を成分としているので十分換気をして入浴する必要ありです。干して乾燥させたものも、入浴剤になりますので、そちらのほうがいいでしょう。

 

中国文化圏では前述のように実を、日本では実よりも花を愛でている印象を受けますが、いかがでしょう。

Momo03_2 Momo04  (写真左:台湾、写真右:日本)

昨年春、活け込みに使われたモモの枝を貰い受けて煮出してみました。アルミでやさしい鶸色、銅で鶯茶、鉄で海松色。黄色味の強い一番液を捨てて、二番からじっくり煮出せば、アルミで薄紅色が出ると思われます。

花言葉は「私はあなたのとりこ」「天下無敵」「気立ての良さ」。春の季語。

◎参考サイト/ 文献◎

http://ja.wikipedia.org/wiki/モモ
http://www.e-yakusou.com
http://www.plantstamps.net
http://hananokotoba.com/
http://www.genbu.net/sinmon/momo.htm
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「和漢三才図絵」第86巻  寺島良安 / 著
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

                                  

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ツワブキ・激渋キャラの魅惑のブラック

Tsuwabuki04 Tsuwabuki01

【学名】  LiguLaria tussilaginea Makino
【英名】  Leopard plant, Japanese silverleaf
【別名】  イシブキ(石蕗)、ハマブキ(浜蕗)、ツワ(豆和)
【生薬名】 橐吾(たくご)
【科】   キク科

本州石川・福島県あたりから沖縄、朝鮮半島、中国沿岸部に多く自生する常緑の多年草。フキと違い、冬でも蒼々とした艶のある葉をたたえているので、庭に植えているお宅も多いですね。鎌倉では、谷戸の日陰の空き地にもよく見かけます。

「つやのあるフキ」が「ツヤブキ」→「ツワブキ」に転じたという説と、フキに比べて葉が厚いので「厚葉フキ」、そこから「あ」がとれて「ツバブキ」→「ツワブキ」になったという説があります。
「石蕗」の字をあてることからも、フキに比べて「硬いぞ!)という漢字が伝わってきます。

「山陰の小京都」と呼ばれる城下町、島根県津和野町の地名は、ツワブキの野、から来ているのだそうです。津和野の地名は日本全国に他にもありますが、おそらく同じ語源でしょう。

春にキク科を彷彿とさせる黄色い花を咲かせます。(最近は秋に咲いていたりしますけどね)
花や若葉は天ぷらでいただけます。
フキの茎を甘辛く黒くなるまで煮詰めた「キャラブキ」は、フキではなく、本来ツワブキを美味しくいただくための調理法でした。アクが強いので、木灰か重曹で煮て、一晩水にさらしてから味付けします。
料理には、いい食材をつかった調理と、そのままでは食べられないものをいかに食べるか、を考えた調理の2つがありますね。前者は、修行を積んだ職人さんの技。これはぜひ、居住まいを正して対価をはらって楽しみたいものです。後者は、日々の暮らしのお料理といえるでしょう。身近なものをよく観察、吟味して、食材として扱う、食べにくいものをいかにすれば食べられるかを考える・・・私の染色もこのようなアプローチでありたいと思っいます。

10月頃の根茎を干して刻んだもの生薬では橐吾(たくご)といいます。煎じて服用すると、健胃、食あたり、下痢に効果。葉は橐吾葉(たくごよう)といい、強い抗菌作用があり、葉をよく揉む、または火で炙るなどして、打撲、できもの、切り傷、湿疹(しっしん)に直接つけて使います。
和漢三才図絵には「豆和(つわ)」の名で「葉は魚毒を解する。河豚魚の毒にあたった場合は、生で食べるとしばしば効験がある。また、馬の飼料にしてもよく、薊(あざみ)・葛(くず)の葉に劣らない。」の記述が見つかります。

見るからに強いアクを持っていそうな印象は、修羅場をいくつもくぐって渋みと色気を磨いたオジサマの貫禄。それを反映してか、鉄媒染で渋みと包容力のある美しい黒が染まりました。ゲキシブ、万歳。

花言葉は「よみがえる愛」「謙遜」「先を見通す能力」「謙譲」。
11/16・11/20・12/17の誕生花。俳諧では冬の季語。

◎参考サイト / 文献◎

http://ja.wikipedia.org/wiki/ツワブキ
http://www.e-yakusou.com/
http://www.hana300.com/
http://ejje.weblio.jp/
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第94巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館 ・「よくわかる山菜大図鑑」今井國勝・今井万岐子/著 永岡書店

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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