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2019/01/16

カラスザンショウ・初夏のレモンシフォン

Karasusansho02 Karasuzansho01

 

【学名】  Zanthoxylum ailanthoides Siebold & Zucc, Fagara ailanthoides
【別名】  アコウザンショウ、ボーダラ、イヌダラ、コメダラ、ゲタギ(下駄木)、
      オオザンショウ
【英語名】 Japanese Prickly-ash
【科】      ミカン科

日本在来種。(耳に心地よい言葉ですねー。外国勢に負けるな、在来!)
北海道以外の日本各地、沖縄、台湾、フィリピンなどに分布。

大変多くの異名があり、他の植物との混同も多く見られます。その中のヤマザンショウは、カラスザンショウを指す地域もありますが、ナナカマドの別名としても通っているので、ちょっとややこしい。また、タラノキにも外見が似ており、それにちなんだ別名も多く存在するというから、かなりややこしい。

沿海地から山地によく生えます。河原、崩壊地、伐採跡地などに、初めに生える「パイオニア植物」。実生でも苗がよく育ち、10m以上の大木に成長します。枝や樹皮に鋭いトゲがあります。

材は下駄、箱、細工物、玩具などに利用されます。サンショウと同じく、すりこぎにも。

清涼感のある独特の風味の蜂蜜がとれるので、蜜源植物としても貴重な存在です。カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、モンキアゲハ、ナミアゲハ、クロアゲハなどの蝶の食草。ただ、実にはサンショウと違いアルカロイドが含まれるので人間が用いる場合は注意が必要ですね。植物名の冒頭に「イヌ」や「カラス」が付く場合、本家ほど役に立たん、という蔑んだ意味が含まれますが、それはあくまで人間側の勝手。カラスザンショウの花にブンブンたかっているミツバチたちを見て、「みんな平等だよなぁ。」とつくづく思ってしまいました。そこからとれた蜂蜜を私たちは食べているのだし。

5月下旬、小網代の森近くに巣箱を置く養蜂家・飯倉剛氏に、ミツバチたちの様子を見せてもらいました。ちょうどこの時期花が満開のカラスザンショウやヤマハゼに、ミツバチたちがせっせと「出勤」していました。健気だ。

小網代の森には、見事な大木のカラスザンショウが多数生息しています。枝葉を煮出すと、山椒に丁字が入り混じったような、独特の香りが立ち込め、透明感のある琥珀色の染液になりました。そう、ちょうどこの頃採れる飯倉さんの蜂蜜の色です。

アルミでレモンシフォン色、銅で璃寛茶、鉄で少し青みの墨色

奇妙なことに、科は違うものの、別名で混同されるナナカマド(バラ科)の染色の結果によく似ています。

◎参考サイト / 文献
http://ja.wikipedia.org/wiki/カラスザンショウ
http://www.jugemusha.com/jumoku-zz-karasuzanshou.htm
http://www.geocities.jp/greensv88/jumoku-zz-yamahaze.htm
http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/plant/bungakusakuhin/kojiki.htm
http://www.tasc.or.jp/~pipedan/other/syokubutu/syokubutu/syokubutu%20all%208%20(617).html
http://had0.big.ous.ac.jp/
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店

 (C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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