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2019/01/09

フェイジョア・南米魂の油煙色

Feijoa Feijoa01_2 (写真 : 池上えみ子)

【学名】   Feijoa sellowiana Berg
【英名】   Feijoa, Fijoa,  Pineapple Guavabr
【別名】   アナナスガヤバ
【科】    フトモモ科

ブラジル南部、パラグアイ、ウルグアイなど南米原産の常緑樹。
日本には昭和初期に果物としてアメリカから渡来しました。

果実には、パイナップルとバナナの中間の様なトロピカルな芳香があります。生食またはジャムやゼリーなどの加工食品、果実酒などに広く利用できます。現在、ニュージーランドではとくに栽培が盛んだそうです。意図的に受粉しないと実がつかないため、日本ではあまり盛んになりませんでしたが、比較的育てやすく、花に独特の美しさがあるので、庭木として人気がでています。

フェイジョアの名前の由来は、スペインの植物学者フェイホアに因んだもので、英名のパイナップル・グァバ」は、果実がパイナップルとバナナとリンゴを混ぜたような味で甘い香りを漂わせるところから。

フトモモ科の植物には精油を多く含み、香りのよいものが多いです。ほかにユーカリ、ブラシノキ、テンニンカ、クローブ(丁字)、グアバなどがあります。どれも、染料として大変優秀です。

鎌倉市稲村ガ崎に住む工房のスタッフのお宅にフェイジョアの木があって、剪定した際、枝葉を少しもらいました。

煮出してみたところ、トロピカルな甘い香りを放ち、染場は南国情趣に包まれました。染液は濃い茶色に。
どの媒染でも渋みのある強い色合いになりました。いずれも押しの強い"華"があります。ビバ、南米!

ということで、色も和色表記ではなく、洋色でご紹介しましょう。
アルミ媒染・同媒染がほぼ同じ感じで、馬の鞍色といわれるサドルブラウン(saddle brown)の濃淡。
特筆すべきは鉄媒染の黒。油を不完全燃焼させて作るという、かすかに茶味のある黒色顔料ランプブラック(lamp black=油煙色)がまさにそれ。絹の染め上がりが特に美しいです。

花言葉は「実りのある人生」。

◎参考サイト / 文献◎
http://ja.wikipedia.org/wiki/フェイジョア
http://www.hana300.com/
https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantno145.html
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 3」 北隆館

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

 

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