イヌホオズキ・ナスの仲間は仙斎茶
【学名】 Solanum nigrum L.
【英名】 Black nightshade, Garden nightshade, Garden huckleberry,
【別名】 ウシホオズキ, クロホオズキ、コナスビ
【生薬名】 龍葵(りゅうき)
【科】 ナス科
世界の熱帯、温帯に広く分布。日本でも北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布の畑、荒地、海岸などに広く自生します。
和名の由来は葉がホオズキの葉に似ているがホオズキに劣るという意味。いやいや、調べてみましたところ、大変有用で興味深い植物であることが判明いたしましたよ。
生薬では生の果実、開花期の根を含んだ全草を乾燥させたものを「龍葵(りゅうき)」といいます。解熱、利尿に効果があるとされています。また腫れ物には、生の果実に塩を加えて、揉み潰して患部に塗布するとよいともいわれますが、ソラニンやアルカロイドを含むため、毒草の認識でいる方がよいでしょう。
アルカロイドの作用で、生葉の汁が目に入ると瞳孔がひらく「散瞳作用」も確認されています。
イギリスのサイトでは「実はジャコウの香りのする美味しいジャムになる」などの記述も見つかりますが、漢方では果実は一般的には有毒で吐寫、下痢をおこすとされますので、お薦めはできませんね。東南アジア、アフリカなどでは、野菜として、茎や葉を煮て食べるとも。でも、きっと、その土地の他の常食物との複雑な食べ合わせで食用として成り立っていることも考えられるので、こちらも容易に真似はしないほうがいいかもしれません。
和漢三才図会でも、特に毒草としての記述はなく、「実は酸っぱい。実の中に種がたくさんあるところがナスに似ている。」などの記述のほか、「苗・茎・葉葉・根は腫を消し、男子の元気を補益する」という面白い記述も見つかります。
乾燥した全草100g、砂糖150g、ホワイトリカー35度1.8㍑を約3ヶ月漬け込んだ竜葵酒は疲労回復に効果。
夏に一年ほど前から工房の庭に突然オオイヌホオズキが生えだしました。全体的にイノコヅチを思わせる青黒い姿。秋になると、葉がやけて紫色に。ちょっと玄人受けのする姿です。
アルミで浅梔子(あさくちなし)、銅で草色から麹塵色。鉄の利休鼠、仙斎茶 (せんさいちゃ)が特に美しいです。
その玄人然とした青黒い姿に由来してか、花言葉は、「真実」「あなたの考えは腹黒い」「懐疑」「魔法」「魔術」「不可解」「死」、とかなりブラック。7/12の誕生花。秋の季語。
◎参考サイト / 文献◎
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/イヌホオズキ
・http://ja.wikipedia.org/wiki/Solanum_nigrum
・http://www.pfaf.org
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「色の手帖」小学館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第94巻
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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