ローズマリー・忘れじの憲法黒茶
【学名】 Rosmarinus officinalis L.
【別名】 マンネンロウ、マンルソウ
【生薬名】 迷迭香(そうてつこう)
【科】 シソ科
南ヨーロッパ原産。学名のRosmarinusは、ラテン語で「海のしずく」を意味するそうです。ヨーロッパでは、教会、死者、生者を悪魔から守る神秘的な力を持つといわれ、また「記憶」や「友情」を意味します。
草ではなく、低木の類。立木性、匍匐(ほふく)性=垂れ下がったり、横に広がったりするタイプ、半匍匐性の3種類があります。開花期は4〜6月。匍匐性のものによく紫の小花を見かけます。
キリスト教以前のヨーロッパで、祝典や結婚式、葬儀に用いられたとされ、「変わらぬ愛」や「貞節」の象徴とされたそうです。その生育はキリストの生涯を象徴し、多くの伝説で聖母マリアと結びついています。で、名前も「マリアのバラ」といわけですね。和名のマンネンロウはこの「マリアのバラ」がなまったものという説があります。
生薬名は「迷迭香(=精油)」。古くヨーロッパでは、民間で堕胎に用いたという記述も見当たります。
今日アロマテラピーの世界では、ローズマリーの精油は、健胃、黄疸の治癒、口臭の除去、記憶力をよくし、鬱を抑えて気分を高揚させるとされています。
また、血行を良くして消化機能を高めることで新陳代謝をよくする、抗酸化作用で肌の老化を防ぐなどの効能から「若返りのハーブ」とも言われているそうです。その繁殖力といい、香りや効能といい、神がかった強さを秘めた植物といえるでしょうね。
この花からとった蜂蜜は最上品とされ、南フランスの特産とされているそうですが、どんな味がするのでしょうね。ウスターソースの添香料のひとつでもあります。
いただいた小さな立木性のローズマリーの苗が、知らぬ間に仕事場の庭で大きく育ちました。(怖いぐらい)
葉は、刻んでパンに練り込んだり、煮込み料理に用いたり、焼酎につけてチンキを作ったりして楽しんでいます。確かに、肉料理に用いると、あとの胃もたれが軽減される感じがします。
3月に、刈り込んだ際、茎(枝)と葉を煮出してみました。頭が冴え冴えするような芳香が漂って、とても心地よいです。
染液は濃い茶色となり、鉄媒染より、銅媒染の方が濃い色になるという珍しい結果となりました。(普通は逆)
アルミで桑染色(くわぞめいろ)から黃橡(きつるばみ)、鉄で山鳩色。
そして、銅媒染で染めたウールがその秘めた(秘めてないね)魔力を写して、大変強い憲法黒茶(けんぽうくろちゃ)。に。
この色名は、日本国憲法には関係なくて、室町時代から戦国時代にかけて活躍した剣術家の吉岡直綱(号が憲法)が広めた色だから、と言われています。
花言葉は「追憶」「思い出」「記憶」「貞節」「変わらぬ愛」「誠実」「親切」「私を思って」「静かな力強さ」「あなたは私を蘇らせる」
◎参考サイト / 文献◎
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ローズマリー
・https://interior-book.jp/102028
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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