アロエ・胃薬、お約束の黄金色
【学名】 Aloe arborescens (キダチアロエ)
Aloe vera (L.) Burm.f. (アロエベラ)
【英名】 Aloe, Octopus plant
【別名】 蘆薈(ろかい)
【科】 ススキノキ科
(※旧 ユリ科、アロエ科、ツルボラン科)
南アフリカ原産。
牧野図鑑では大正時代に菜種油色観賞用として輸入された、とありますが、どうやら鎌倉時代には伝来していたようです。が、
Aloe(アロエ)の名は、アラビア語の 「alloeh(苦味のある)」から。
アラビア語の発音「ロエ」が中国で「蘆薈」と綴られ、これが日本で「ろかい」と呼ばれるもととなりました。
キダチアロエは九州、本州の太平洋側に多く自生し、そのほか日本ではアロエベラが園芸用として多く流通しています。
俗に「万能薬」と認識されているますが、どうやらこれは誤り。
生薬のアロエは、アロエ・アフリカーナ(喜望岬蘆薈)の葉汁を煮詰めたもので、黒い塊。
ギリシャや欧州・中東では、紀元前から薬草として利用してきたようです。アリストテレスはアレクサンダー大王に、アロエの産地として知られるソコトラ島を領土にするよう進言したという逸話も。占領・・・したのかなぁ。
民間では、キダチアロエの葉汁をそのままか、あるいは葉をすりおろしたり、生のまま輪切りにして水で煮出した液を服用すると消化不良、胃炎などに効果。しかし、多量摂取は禁物。
火傷、傷、虫刺されには新鮮な葉を切り開いて、葉肉の透明なゼリー部分を貼りつけると効果。・・・なんですが、アフリカーナ以外は薬効成分は殆どないとの説もあり、あくまで民間療法のレベルと捉えるほうが良いみたいです。
でも、長い歳月「効く」とされてきたものですし、産地を占領しようというぐらいの信頼性は、科学データにあらわれない「力」があるの・・・かもしれませんね。
和漢三才図会には「苦くで黒い。なめてみて苦味ののちに甘みを感じるものがほんもの。ジャワや三仏斎(スマトラ南部にあった王国)のものは草に属し、カブトガニの尾のようだ」などの記述が見つかるのですが、文面から察するに、筆者の寺島良安先生、薬は見たことがあるものの、植物の実際は目にしていなかった様子。(ペルシャ産の「ほんものの」蘆薈を木だと思っている?)
和漢三才図会を読んでいて、いつも思うのは、江戸時代の中期の街のお医者さんなのに、外国の事もよく知ってるなーということ。日本人の好奇心は半端ないっすね!
苦味のあるものは、良い染料になることが多いので、頂いたキダチアロエの葉を煮出してみたところ、強い黄色の液となり、アルミで黄金色、銅でやや緑味の菜種油色、鉄で鶯茶。どれも堅牢。胃薬になるものは、総じて黄色の液になることが多いようである。
花言葉は、「健康」「万能」「苦痛」「悲嘆」「信頼」「迷信」
9/8, 9/11, 11/22, 12/20の誕生花。
◎参考サイト / 書籍
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.hana300.com
・https://ja.wikipedia.org/wiki/アロエ
・https://ja.wikipedia.org/wiki/アロエベラ
・https://ja.wikipedia.org/wiki/キダチアロエ
・http://chills-lab.com/flower/a-ra-08/
・「続々・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 82巻
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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