シロタエギク・ムーミン谷から麹塵色
【学名】 Senecio cineraria, Cineraria ambigua Biv., など。
【英名】 Dusty miller, Silver lace
【科】 キク科
原産地は南イタリア、シシリー島、北アフリカ。
現在ではイギリス南部を含むヨーロッパの広い範囲と、北米・オセアニアなどに帰化しています。
日本ではダスティーミラーの名で園芸種として、一年を通じて苗が売られていますね。
種の蒔き時は3,4月。6,7月に黄色い野菊の風情のが咲きます。
寄せ植えでは、他の花を引き立てる大切な脇役で、ドライで楽しむこともできます。
葉全体が白い毛で覆われていることからこの名があり、実際、葉はフェルトのような手触り。
英名の「dusty miller」は、「ホコリまみれの粉屋」という意味で、こちらも全体に粉を吹いたような草姿に由来。学名のSenecio(セネシオ)は、ラテン語の「senex(老人)」が語源。この種の植物に、灰白色または白色の冠毛があることから。
ふと、2007年に行った「トラーベアートフェスティバルin鎌倉」での出来事を思い出しました。
北ドイツのアーティストたちを招いてのこのイベントの中で、花活けアーティストのCHAJINさんが、「スモール展」という展覧会を企画してくれました。日独参加アーティストたちにそれぞれ「小さな器」を提出してもらって、それにCHAJINさんが花を活ける、というもの。
私はフェルトと銅線でつくった器を提出しました。CHAJINさん、どんなお花を活けてくださるのかなぁ・・・とワクワクしていたら、なんと、このシロタエギクを詰めてくれたのです! かーっくいい!! (詳細、こちら!)
展示された作品棚には、CHAJINさんのこんなコメントが。
「初めてダスティーミラーを見た時、ムーミン谷からやって来た花かと思った。」
たしかに!
このムーミン谷出身者、防虫効果のほか、白内障や視野のぼやけのための、目の洗浄にも使われるとか。
煎じて服用すると、偏頭痛、飛蚊症、月経困難などに効果ありという説もありますが、いずれも、はっきりとしたデータはありません。
加えて肝臓に負担をかけるピロリジン・アルカロイドを含むため、素人は安易に用いない方がよいでしょうね。
ま、ムーミンたちには効くんでしょう。
キク科にしては煮出していても、いつもの強い芳香はしません。むしろ、もっとほっこりした匂い。あまり濃い色にはなりませんでしたが、アルミ媒染で木蘭色(もくらんじき)、銅で美しい麹塵(きくじん)色、鉄で海松(みる)色。
花言葉は「あなたを支えます」「穏やか」。1/27の誕生花。
・http://www.hana300.com/
・https://www.komeri.com/contents/smt/flower/list/si_031.html
・https://horti.jp/13494
・http://ja.wikipedia.org/wiki/シロタエギク
・https://www.webmd.com/eye-health/cataracts/default.htm
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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