« シロタエギク・ムーミン谷から麹塵色 | トップページ | ヤマブドウ・山の慈愛の涅(くり)色 »

2022/07/02

ヘナ・悠久の伽羅色

Henna03 Henna02 Henna01 


【学名】  Lawsonia inermis, Alcanna spinosa Gaertn,
      Casearia multiflora Spreng, Lawsonia spinosa Lam
【英名】  Henna, Mignonette Tree
【和名】  シコウカ(指甲花)、ツマクレナイノキ(爪紅木)、
      エジプトイボタノキ 
【科】     ミソハギ科 

 

北アフリカ、インド、東南アジア、北オーストラリアなどの暑く乾燥し、水はけのよい丘陵地帯に自生する常緑低木。放っておくと7mを超える大木になります。

「ヘナ」はアラビア語、インドでは「メヘンディ」といいます。古くから染料や薬として用いてきた歴史があります。

アラブでは馬の白いたてがみを染めたり、インドでは5000年以上前からヒンドゥー教の女性の間でボディーペイント、髪染め、マニキュアや眉墨代わりに用いられたりしてきました。

また、傷・潰瘍・炎症などの薬として、また脱臭、殺菌作用があるので、人間の水虫に使われたり、脇の消臭などにも使用され、精油「メへンディ」はその芳香から香水としても重宝されています。
特にアーユルヴェーダでは通経剤、出産後の増血剤、天然痘、頭痛や大腸がん、ハンセン病などの症状を和らげてくれる植物としても用いられてきました。

和名の指甲花は、「爪の花」という意味があり、昔から爪の補強に使われてきたことも伺えます。
もしかしたら、マニキュアで爪を赤くするのは、もともとおしゃれではなく、こうした健康維持に関わる行為だったのかもしれませんね。

大好きなインドの映画監督 ミラ・ナイールが監督した2001年の映画「モンスーンウェディング」。ニューデリーのとある旧家の長女の結婚準備を軸に温かい人間模様を描いた傑作です。劇中で長女の手に花嫁の印としてヘナの刺青が施されるシーンが印象的で、式前夜、心残りの男性と車の中で密会していた彼女は、ストリートギャングにちょっかいを出されるのですが、そのチンピラの一人が彼女の手を見て「おい、この女、花嫁だぜ!」と騒ぎになってしまいます。

長くアジアでは人間の生活に密着してきた植物といえるでしょう。近年では、日本でも安全な白髪染めとして浸透していますね。

そんな染料植物なら、と友人にもらったヘナを勇んで染めてみましたが、どうやら古すぎた・・・。
うっすらと伽羅色土器(かわらけ)色など、たいそうやさしい癒し系の色になりました。今度はもう少し新鮮なもので試してみます。

花言葉は「純真な愛情」「愛の悲しみ」
9/6 10/11 10/18の誕生花


◎参考サイト

https://pfaf.org
http://www.e-yakusou.com/
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘンナ
https://j-henna.com/henna.html
http://chills-lab.com/flower
https://働く女性の味方.com/hena-tattoo/

(C)たなか牧子造形工房 禁転載

| |

« シロタエギク・ムーミン谷から麹塵色 | トップページ | ヤマブドウ・山の慈愛の涅(くり)色 »

鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« シロタエギク・ムーミン谷から麹塵色 | トップページ | ヤマブドウ・山の慈愛の涅(くり)色 »