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2022/07/20

江戸時代のキラキラネーム


最近、ちょっと西洋絵画の歴史にハマっていまして、それに伴いヨーロッパの王朝の家系図などを繙きました。

今更ですが、どーしてこう西欧人、おんなじ名前の人が多いのでしょう。王様の名前、混乱をきたすこと甚だしい。 
王朝に限らず、西欧は総じて名前の種類が少ないですよね。キリスト教が及ぼすシバリ(という言葉が適切かはさておき)がかなりきついように見受けられます。

そこへいくと、日本人の名前のなんと多様なことでしょう。 創作、自由自在。
近年は加えて、「キラキラネーム」と呼ばれる、いわゆる伝統を度外視した新しいネーミングも生まれています。

WIKIによればキラキラネームとは「伝統的でない当て字や、外国人名やキャラクター名などを用いた奇抜な名前の総称」ということらしい。

「明日(ともろう)くん」「茶名(ティナ)ちゃん」・・・よく考えつくこと。

ちなみに、キラキラネームの反対は「シワシワネーム」というらしい。
女の子なら「子」のつく名前などがそれだそうです。 あ、そう。

しかしながら、女の子の名前に「子」がつくようになったのは平安時代の貴族社会からで、一般女性に使われ出したのは明治以降。
当時なら「牧子」もキラキラだったのさ!

そして見つけました、江戸時代サムライ男子のキラキラネーム。その名も「東百官(あずまひゃっかん)」。

東百官とは、実際には存在しない朝廷の官職風の人名のことだそうで、はじめは学者たちが「品がないからやめなさい」と警鐘を鳴らしていたとか、いなかったとか。
が、次第に名門の家でも使われるようになって定着したそうです。私たちがテレビで見る時代劇に出てくるお侍さんの名前も多くは東百官。一例をご紹介。

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なんだ、「丹下左膳」なんて、キラッキラのピッカピカじゃん!

日本人は昔から「◯◯風」というのに弱い。
「プロヴァンス風豚肉の煮込み」「北欧風家具」「ドイツ風」「フランス風」・・・挙げたらキリがありません。

いずれにしても、「あこがれ」という気持ちから、それらしきものをバーチャルに楽しむ、という気質の表れでしょう。
これはもはや伝統です。(笑)

いまだに西欧風の名前へのあこがれが支配するのもちょっと寂しい気はするけれど(英語がかっこいいという感覚が、すでにシワシワだと思うんですけどね)、いずれにしましても、名付ける親御さんにも、名付けられるお子さんにも、幸、多かれ。

(2022年 カジュ通信 春・初夏号より)

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