シシトウ・畑の王様は女郎花色
【学名】 Capsicum annuum var. angulosum
【英名】 shishito pepper, sweet green pepper
【科】 ナス科
中南米原産。ヨーロッパ人のアメリカ大陸発見後、南米からヨーロッパに入り、その後世界に広がったそうです。
学名のCapsicum(カプシカム)は、ギリシャ語の 「capsa(袋)」が語源。
正式名はシシトウガラシ(獅子唐辛子)。ナス科トウガラシ属に属するトウガラシの甘味種。
植物学的にはピーマンと同種です。
タバコとともにポルトガルからもたらされた唐辛子(当時は南蛮胡椒と呼ばれていました)を、古くから品種改良して辛味のないものを栽培してきました。
ポルトガル語で唐辛子を表すpimenta(ピメンタ)からこの改良種をピーマンというようになりましたが、その後、明治期に渡来したものもピーマンと呼ぶようになり、現在は区別するために前者をシシトウと呼んでいるわけです。
(ピーマンの語源についてはフランス語のpiment(ピマン)とする説のほうが一般的ですが、タバコとともに入ってきたことを考えると、ポルトガル語のワウが自然な気がします)
βカロテン、ビタミンC、カリウムなどを豊富に含む、緑黄色野菜。 切らずにそのまま食べられるので、焼き物、炒め物、揚げ物などに幅広く利用できます。
10年前から家庭菜園をしていますが、腕のよくない素人の私でも、春から夏に毎年育てるシシトウは失敗なし。ホイホイとほんとうによく採れます。ありがたい、ありがたい。
果実にはトウガラシと同じ辛味成分の「カプサイシン」が微量に含まれています。
この辛味成分は、栽培中の急激な気温の上昇や乾燥などで、強いストレスが加わると突発的に強くなると考えられています。
実際、山のように採れるシシトウの、10本に1本ぐらい、ちょー辛いのに当たることがあります。シシトウ・ロシアン・ルーレット。
辛い果実は一般的に、外観に光沢がなく果形によじれ・ちぢれ等がある、緑色が濃くシワが少ない、硬いなどの傾向があると言われていますが、必ずしもそうではないような・・・。
昨年。秋になっても衰え知らずのシシトウ。そろそろ冬の畑の準備にはいらなければならないので、一株抜いて、茎と葉を煮出してみました。
透明感のある黄色の液からは、アルミで明るく柔らかな女郎花色(おみなえしいろ)、銅で白緑(びゃくろく)、鉄で青白橡(あおしろつるばみ)。
今年も染めてみたいと思います。
花言葉は「厄介な感情」トウガラシ全般では「旧友」「雅味」「辛辣」「嫉妬」。
◎参考サイト / 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/シシトウ
・http://www.hanakotoba.name
・http://www.hana300.com/
・https://ja-kochi.or.jp/
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第89巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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