カナムグラ・王毅の黒緑
【学名】 Humulus japonicus, Humulus scandens Merrili
【英名】 Japaese hop
【別名】 クワムグラ(鍬葎)
【生薬名】 葎草(りつそう)
【科】 アサ科(以前の分類ではクワ科)
夏になると、鎌倉のちょっと油断している空き地には、この軍団がはびこる・・・。
麻の葉に似た大きな葉をトゲトゲと茂らせ、次々と他の植物に巻きつき駆逐してゆく様は、キングダムに出てくる王毅将軍の隊のよう。強い、強すぎる! 来ないで、来ないでー。
日本各地、および中国に分布。原野、荒れ地などに容易に繁殖します。「カナ」は「鉄」の意、「ムグラ(葎)」は茂みを表すことからも、強靭で繁殖力が旺盛であることがわかります。
雌雄異株。ビールの原料であるホップと同じ仲間で、秋に雌花が咲いた後には、ホップのような実がつきます。
万葉集には「むぐら」「やえむぐら」の名前で登場しますが、現在は「ヤエムグラ」は別の植物を表します。
かわいいもんです。ヤエムグラのお話はこちら。
全体に細かいトゲ状のイガイガがあり、素手て触ると、痛い!
これが、他の植物に絡みつくのに役立って、どんどんのびる! 王毅将軍、止まりません。
見た目はこわいけど、王毅将軍のように人に寄り添う優しさも。葉、茎、果実ともに薬用に用いることができます。
夏~秋に地上部を刈りとり天日で乾燥。 これを生薬(しょうやく)で、葎草(りつそう)といいまして、煎じて服用すれば健胃、利尿、解熱に効果。たむしには乾燥葉を粉にしたものを酢で練って塗布します。
初夏の若い芽と葉は食用となるそうですが、ま、やめておこうかな。怖いから。
欧米では、実から採れる油を石けんの原料にするそうです。見た目は油っ気ゼロですけどね。
勢いよくのびるつると葉を、怖いけど勇気を出して煮出してみました。
その怖いほどの力強さを見事に映し出した黒々とした液となりまして、アルミで芥子色、銅で強い銀煤竹、鉄で緑味の黒。
花言葉は、「強い人」。・・・でしょうとも。
◎参考サイト / 文献
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/カナムグラ
・http://www.pfaf.org/
・http://www.weblio.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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