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2022/07/28

ヤマボウシ・僧兵は璃寛茶色

Yamaboushi Yamabo98
                   ※実の写真出典



【学名】  Cornus kousa , Benthamidia japonica,
      Cynoxylon kousa Nakai 
【英名】  Kousa Dogwood, Japanese Flowering Dogwood
【別名】  ヤマグワ, イツキ, カラグワ

【科】   ミズキ科 

本州、四国、九州及び朝鮮半島、中国に分布。学名の「kousa」は、 昔の箱根の方言でヤマボウシを「クサ」と呼んだことに由来するそうです。「Cornus(コーナス)」は、ラテン語の「cornu(角)」が語源。材質が堅いことから。
ヤマボウシ(山法師)の名は、淡黄緑色の丸い蕾(つぼみ)を、比叡山の僧兵の頭に見立てて、白い4枚の総苞片を、頭巾に見立てたところから。

・・・なるほど。
202207282120 
(鎌倉もののふ隊 名物「もののふツアー」で弁慶に扮した参加者)



ただ、シーボルトは「山帽子」と思っていたらしく、シーボルトの「日本植物誌」には、「山の帽子という名が示す通り、高地を原産とする。」という記述が見当たります。
(シーボルト先生、けっこうこの手の間違い、やらかしてるのよねぇ・・・。)

秋に赤く熟した実は、ビタミンやカロチン、アントシアニンなどを含み、滋養強壮や疲労回復などの効能があるといわれています。果肉がやわらかくマンゴーのような甘さがあるそうです。果皮も熟したものはとても甘く、シャリシャリして砂糖粒のような食感があるとか。食べてみたいなあ。写真で見る限り、確かにちょっと、トロピカルフルーツの雰囲気を醸し出しています。果乾燥させてから利用すると、下痢や腹痛にも効くそうです。やるじゃん、弁慶さん。

ジャムや果実酒としても楽しめます。

<<果実酒の参考レシピ>>

● ホワイトリカー 実の3倍の量
● 氷砂糖 ホワイトリカー1Lに対して100g
● レモン 1/4個3ヶ月ぐらいで実を取り出し、布でこして寝かせておく。


ちょうど花盛りの時期に、北鎌倉のとあるお宅から枝葉を貰い受け、煮出してみました。
1時間ほどで、大変濃い液となり、どの媒染でもとても堅牢で透明感のある冴えた色を染め上げました。アルミで強い芥子色、鉄ではくっきりした濡羽色(ぬればいろ)。銅媒染の璃寛茶色が特に美しいです。

花言葉は、「友情」。 
6月15日の誕生花。
夏の季語。


◎参考サイト /文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ヤマボウシ
http://www.e-yakusou.com/
http://www.hana300.com
・http://100kajiten.net/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「シーボルト日本植物誌 <<本文覚書篇>>」
  大場秀章 / 監修・解説 瀬倉正克 / 訳 八坂書房

 

 (C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

 

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