イソギク・海辺の涙は支子色
【学名】 Chrysanthemum pacificum, Dendranthema pacificum
【英名】 Chrysanthemum pacificum
【別名】 イワギク(岩菊)
【科】 キク科
関東、東海地方、伊豆諸島の海岸の崖に生える多年草。日本固有種です。園芸種としても人気で、栽培もされています。10〜11月に小菊のような黄色い花が集まって咲くのが、かわいいです。
何年か前の夏に、ルート134号線沿いの稲村の切り通し付近に、染色用のヨモギを取りに行ったところ、なんか、ヨモギの群生の中にちょっとみなれない一群がいて、調べてみたら、このイソギクでした。
学名の「Chrysanthemum」は、英語で「菊」を表す言葉ですが、もともとラテン語で、「chrysos(黄金色)+anthemon(花)」が語源。「pacificum」 は「太平洋の」の意。
イソギクにまつわるある民話があります。
静岡県伊東市城ヶ崎海岸の、門脇の吊橋の山側にある崖と崖の間の狭い入り江(浜)を「半四郎落し」という。
昔々、城ヶ崎海岸門脇岬に近い富戸村に、半四郎とおよしと仲のよい夫婦が住んでいた。
ある日、半四郎はひとり海へ「トジ」(しっくい壁に使う海草)を採りに出かけた。その日は潮も引き波も静かで半四郎は背負い籠いっぱいのトジを採ることができた。
帰途についたが途中、崖の上でしばらく腰を下ろして休んでから、「さて、帰ろうか」と、腰を伸ばした瞬間、背中のトジの入った背負い籠に引かれ「あっ」という間に崖下の海に転がり落ちてしまった。
村人から半四郎が亡くなったことを聞いたおよしは、それはそれは悲しみ、毎日のように半四郎が亡くなった崖の上に立っては涙を流す日が続いた。
以来、城ヶ崎一帯の磯には、毎年秋になると風に飛び散ったおよしの涙にも似た黄色く可憐なイソギクの花が咲くようになり、半四郎が亡くなったところを「半四郎落し」と呼ぶようになったという。
134号線沿いで摘んだとき、キク科独特の強い芳香が漂い、煮出すとさらに香りました。どの媒染でも大変堅牢な押し出しの良い色を染め上げました。
アルミで支子色(くちなしいろ)、銅で桑茶色、鉄で濃い海松色(みるいろ)。
花言葉は、「清楚な美しさ」「感謝」「静かな喜び」「大切に思う」。
10/10,11/17の誕生花。
◎参考サイト / 文献
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/イソギク
・https://minhana.net/wiki/イソギク
・http://www.weblio.jp/
・http://www.language-of-flowers.com/hana/se-434/
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