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2023/03/07

ユズリハ・受け継がれる檜皮色

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【学名】  Daphniphyllum macropodum
【別名】  ユズルハ(弓弦葉)、 ツルシバ、正月の木、親子草
【科】     ユズリハ科(旧 トウダイグサ科) 

原産地は、日本、中国、韓国。
学名のDaphniphyllum(ダフニフィーラム)は、ギリシャ語の 「daphne(月桂樹の古名) + phyllon(葉)」が語源。葉の形が月桂樹に
似ていることから。
和名は、葉の新旧の入れ替わりが著しいこと(5月ころ新しい葉が伸び始めて、8~9月ころに生長した新葉に代わって、古い葉が落ちる)に由来し、「親が子を育てて家が代々続いていく」ことを連想させる縁起木とされ、正月の鏡餅飾りなどに用いられるようになりました。

Unknown (写真出典)

和漢三才図会にも「新葉が生えてから旧葉が落ちる。これが父子相譲るように見えるので、一般に譲葉と呼ぶ。都市でも地方でも正月の鏡餅や門戸の飾りに用いる。またこれも相続の意味を取ってのことである」とあります。
少ないですが、家紋にもみられます。
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地方によっては、穀物に宿る精霊の再生のシンボルとして、収穫祭に神座に飾ったり、はしかにかかった時にユズリハに病気を託すまじないを行うところもあったそうです。

古名のユズルハ(弓弦葉)といわれ、葉の中にある主脈がはっきりと目立ち、弓の弦のように見えることに由来します。

樹皮や葉には、アルカロイドのダフニマリン、ダフイロイド、配糖体アスペルロシド、樹皮にはタンニン類を含有するため、呼吸困難、麻痺などの中毒症状を引き起こすことがあるので、素人は有毒植物と認識した方がよいでしょう。
が、用い方によっては薬として有効で、しらくもなどの寄生性皮膚病に、樹皮は1回量約10g、葉は1回量約15gを煎じて患部を洗浄すると効果があると言われています。家畜の駆虫剤として用いることも。

ふふふ。「有毒」と聞くと、染織家は萌えてしまうのだ。有毒、つまり、薬効の強い植物は、染料としても優秀な場合が多いからです。
工房の南庭の隅っこに、いつの間にか生えてきたユズリハ。みるみる大きくなって、梅の木に影を落とすようになったので、剪定しました。

期待を裏切らず、染液はあまり濃い色にはならなかったものの、反してどの媒染でも堅牢な色を染め上げました。
アルミで支子(くちなし)色、鉄で素鼠(すねずみ)いろ。特筆すべきは銅媒染檜皮(ひわだ)色。染液を一晩寝かせてから染めれば赤みはさらに増したものと思われます。


花言葉は「若返り」「世代交代」「譲渡」。1/6の誕生樹。新年の季語。


◎参考サイト / 文献

http://www.hana300.com/
http://www.e-yakusou.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/ユズリハ
http://hukumusume.com/366/hana/index.html

・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」   第84巻 寺島良安 / 著

(c)たなか牧子造形工房   禁転載

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