ヤシ・ご苦労さんの芝翫茶(しかんちゃ)
(写真提供: 田中とも子)
【学名】 Phoenix canariensis
【英名】 Phoenix Palm, Canary Date Palm
【別名】 フェニックス
※牧野図鑑ではフェニックスはカナリーヤシとは別種として紹介されている。
【科】 ヤシ科
カナリヤ諸島原産。日本では関東より南で生育します。
学名のPhoenixは、病害虫に強く長寿であることから。
(Phoenixにはギリシャ語で「ナツメヤシ」の意味もあります。)
南国情趣を演出する目的で、観光地などにワシントンヤシやシンノウヤシとともに植えられることが多いです。
今回調べてみて、日本で見られるヤシにはかなり種類があることがわかりました。
カナリーヤシと同じナツメヤシ属の「ナツメヤシ」は、一見したところカナリーヤシと区別がつきにくいそうです。
ナツメヤシの実(デーツ)は食用になり、和漢三才図会にも「子(実)は長さ二寸。棗(なつめ)のように大きい。六、七月に熟して黒色となる。味は飴のように甘い。ただし、子は三、五年に一度つく。脾、胃を補い、気を益し、人を肥健 にする」とあります。アラブや中央アジアなどでは貴重な栄養源として大切にされていますね。
逗子マリーナの路地に並ぶ背の高いヤシは「ワシントンヤシ」(別名オキナヤシモドキ)。
ご存知「ココヤシ(ココナッツ)」は実からココナッツコルク、ココナッツオイル(パーム油)がとれます。
フィリピン原産のサトウヤシは、皮に甘みのあるデンプンが多く含まれ、食用にできることが和漢三才図会にも紹介されています。
そのほか観葉植物としてアレカヤシなども最近人気が高いそうです。
逗子マリーナに冬行くと、寒空にそびえるワシントンヤシの様子が、北極をさまようライオン・・・みたいな、かわいそー感がただよいまくっているんですよね・・・。東京の人が抱く「湘南感」を演出すべく、その責務の重さに堪えるヤシの木たち・・・健気だ、あまりにも健気だ。
(写真出典)
逗子マリーナの路地に並ぶワシントンヤシ。右端はカナリーヤシ。
先ごろ、市内の生徒さんのお宅の近くで、お庭で巨大化してしまった3本のカナリーヤシが伐採されました。
その様子を見ていた生徒さんが、現場から樹皮をもらってきてくれました。(ありがとう!!)
みるからにシブが多そうな茶色い樹皮。
さぞやどろろーんとダークな色が染まってくれるに違いない・・・と思いきや、どの媒染でも、あっさり味。
やっぱり、冬はそこそこ寒い鎌倉では、ぐっと奥歯を噛み締めながら力を使い果たしながらやっとこさ生きているのですね・・・ご苦労さま。
アルミでやさしい芝翫茶(しかんちゃ)、銅で朽葉(くちば)色、鉄で海松(みる)色。
ヤシ全般の花言葉は「あなたを見守る」「固い決意」「成功」「思いがけない贈り物」。
12/14の誕生花。ココヤシは7/20。
宮崎県の県木。
◎参考サイト / 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/カナリーヤシ
・https://www.oceanside-garden.net/plants/カナリーヤシ-phoenix/
・https://ja.wikipedia.org/wiki/サトウヤシ#デンプン
・https://k-ohana.net
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第92巻
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