アケビ・才色兼備の仙斎茶
【学名】 Akebia quinata Dence
【英名】 Chcolate vine Akebi
【別名】 アケビカズラ
【生薬名】 木通(もくつう)、 木通子(もくつうし)
【科】 アケビ科
本州、四国、九州、および朝鮮半島、中国に分布。
学名にAkebiとあるように、日本古来の植物と言ってよいでしょう。
quinataは「五つの」「五小葉」の意味で、葉が五枚でひつとであるため。
ちなみに、葉がギザギザとした歯が三枚のミツバアケビ(Akebia trifoliata)という種も日本には多く分布しています。
和名の由来は実が縦に避ける様子から「開実(あけみ)」が転じた、「秋ムベ」(冬に熟すよく似たムベより実の熟期が早い」)が転じたなど諸説。
木質化したツルは、古くから籠編みなどに用いられています。
長野県野沢温泉地方の郷土玩具「鳩車」は、アケビのツルを細工したもので、全国郷土玩具番付で「東の横綱」に推挙されていのだとか!
(ちなみに西の横綱は「伏見の飾馬」だそうです。)
また木質化したツルを秋・冬に採取し、干したものを生薬で「木通」といいます。
配糖体やカリウムが多く、煎じて服用すると、腎臓炎、尿道炎、膀胱炎、妊娠によるむくみに効果があるといわれています。
和漢三才図会にも「肺を清くして頭痛を治す。湿熱を排泄し、小便の出をよくし大腸を通す」などの記述が見当たります。
3〜5月の若い芽は、茹でてアク抜きをしておひたしや各種和え物で。
ミツバアケビのもののほうが苦味が少ない、と山形出身の友人はいいますが、どちらも食用にはなるようです。
工房の裏庭に据えた物置の屋根に、いつの頃からかアケビが居座るようになりまして。今時分は、油断していると物置の扉が開かなくなるほど茂るので、折々カットして染めものにつかっています。
アルミで黄色みの灰色、銅で鶯茶。鉄の仙斎茶色(緑みの濃いグレー、黒が特筆すべき美色。
俳諧では「通草(あけび)」で秋の季語。
花言葉は「才能」そして「唯一の恋」。これは雄花と雌花がそれぞれ色も大きさも異なって別々に咲くことからだそうです。
10/23, 11/1, 11/13の誕生花。
◎参考サイト / 文献
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/アケビ
・https://hanakotoba.net
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「シーボルト日本植物誌 <<本文覚書篇>>」
大場秀章 / 監修・解説 瀬倉正克 / 訳 八坂書房
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第96巻
| 固定リンク | 0
「鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事
- ウイキョウ・妖怪召喚の蒸栗色(むしぐりいろ)(2024.11.29)
- カイヅカイブキ・昇り竜は萱草色(かんぞういろ)(2024.11.28)
- レモングラス・爽やかすぎる草色(2024.11.13)
- シークワーサー・南国発の淡黄色(2024.11.12)
- メラレウカ・ふとももパワーの漆黒(2024.10.30)
コメント