ワルナスビ・悪ぶっても優男
【学名】 Solanum carolinense
【英名】 Apple of Sodom, Devil's tomato, Carolina horsenettle
【別名】 オニナスビ, ノハラナスビ
【科】 ナス科
北米南東部(カロライナ周辺)の原産。
1906年(明治39年)に千葉県成田市の※御料牧場で牧野富太郎により発見され、「ワルナスビ」と命名されました。
以後、全国の荒地、道端、空き地などに自生するように。
学名のSolanum(ソラナム)は、ラテン古名の「solamen(安静)」が語源。
この属の植物に、鎮痛作用を持つものがあることから。
地下茎で増え、枝分かれして旺盛に繁茂します。
花は、ナスやジャガイモの花に似て、秋には球形の果実が橙黄色に熟します。黄色いプチトマトみたいです。
が、しかーし。
葉、茎、根、実、すべてにソラニンを含み、有毒。
家畜が食べると場合によっては中毒死することがあるので要注意! 子供などがトマトなどと勘違いして口にしてしまう危険性も高い!
その毒性をうまく生かし、欧米では薬用利用してきたという記述も見当たります。
それによると、実と根は、鎮痛、収れん、媚薬(!)、利尿、また、てんかんや喘息の治療に用いたそうですよ。
葉を乾燥させたものでうがい、またはお茶として服用することで喉の痛みに効くとも。
いずれにしても現代では用いられていません。安易な服用はしないほうがいいですね。
近所に、スペアミントが自生している野原があって、お散歩がてら取りに行ったら・・・あれ、全然ない。
そのかわりに、ジャガイモ畑になった!!・・・ん? ちょっとちがうか?
そう、よくみると、花はジャガイモそっくりでしたが、全身ドッゲットゲの別人!
その群生の様子はまさに漫画「クローズ」の世界ですよ。
にーさんたち、怖いよ!
試し染めするために採取しようにも、棘が痛くて一苦労。素手では無理でした。
実はまだついていなかったですが、英語名「ソドムのりんご」「悪魔のトマト」はよく言ったと思います。
牧野先生の「ワルナスビ」もなかなかのネーミング。でもちょっと、こちらのほうが可愛いワルの感じですね。
いくらワルを気取っても心はナイーブなのが、思春期のワル。出た色はそんなことを思わせます。
煮出してみますと、その棘で武装した表向きとは裏腹に、どれもたいへんにやさしい色合いでした。
ちょっと拍子抜け。
アルミで女郎花(おみなえし)色、銅や鉄で海松(みる)色、すずでは夏虫色。
花言葉は「悪戯」。
※御料牧場・・・宮内庁下総御料牧場(くないちょうしもふさごりょうぼくじょう)。1969年(昭和44年)まで千葉県成田市に存在していた。江戸時代は軍馬や農馬の飼育がされていたが、明治からはウールの需要が増えたことから国内産羊毛の生産のため、政府の運営するめん羊牧場となった。
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ワルナスビ
・https://pfaf.org
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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