ヒメオドリコソウ・したたかものの翡翠色
【学名】 Lamium purpureum
【英名】 Red Deadnettle, Purple Deadnettle
【別名】 サンガイグサ(三階草)
【生薬名】
【科】 シソ科
鎌倉の野原は、今、どこを見てもヒメちゃん、ヒメちゃん、ヒメちゃん!
初夏の到来をおおいに歌い上げています。
学名のpurpureum は 「紫色の」、 Lamium(ラミウム)は、ギリシャ語の「laipos(のど)」が語源で、 葉の筒が長くてのど状に見えることに由来する、との説があります。
明治時代に日本に帰化した、ヨーロッパ原産の越年草。
ヒメオドリコソウの種子には、冠毛や翼があるわけではなくて、風による散布はあまり期待できません。その代わり、アリの好む「エライオソーム (Elaiosome)」(オレイン酸などの脂肪酸、グルタミン酸などのアミノ酸、ショ糖などの糖からなる化学物質)という付属体があって、これを食料とするアリによって運ばれるといいます。
お土産を用意して仕事してもらうという!
これを特に「アリ散布植物」といい、この他に同じシソ科のホトケノザや、スミレ、カタクリ、カタバミ、ムラサキケマン、フクジュソウなど、約200種類ほどあるといわれます。植物たちの生存戦略には驚かされることばかりですね。
英語名のDeadnettleは、花のない時期の葉の風情がイラクサ(nettle)に似ていることに由来します。
鎌倉では、3月頃からあちこちに煙ったピンク色の花をつけたヒメオドリコソウの群生がみられますが、これを「ホトケノザ」と思っている方、かなりいらっしゃる模様。かくいう私もそうでした。
ホトケノザはよく似ていますが別物でこちら。
で、厄介なのは、春の七草の「ホトケノザ」はまた別物というところ。
こちらは本名「コオニタビラコ」さまとおっしゃいます。
(wikiより)
なんでこんなに名前が交錯したんでしょうね。
さて、カラスの遠藤と並んで、春の大切な染料であるヒメちゃん。
煮出すと、とてもホコリくさい(土臭い)ニオイがします。
そして、中性水でも、アルカリ水でも、また、どの媒染でもうつくしい翡翠色、深緑色などが得られるのです!
ヨーロッパでは発汗、止血に薬効ありと言われていますが、一般的には毒草の部類なのでご注意を。
花言葉は「愛嬌」。
◎参考サイト/ 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ヒメオドリコソウ
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.arthurleej.com/a-deadnettle.html
・http://www2n.biglobe.ne.jp/~WWESBJ/medicine.htm
・http://www.tcp-ip.or.jp/~jswc3242/mamechishiki/mame46eraiosoomu.html
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 3」 北隆館
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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