ウンシュウミカン・ほんわり淡黄色
【学名】 Citrus unshiu Marcov.
【英名】 Satsuma Orange, Mikan
【生薬名】 陳皮(皮)
【科】 ミカン科
中国から渡来した柑橘類が、13〜14世紀に鹿児島で突然変異してできた(なんと!) 日本原産のオレンジ。
ウンシュウの名は、柑橘類で有名な中国江南の温州地方に因んで付けられましたが、とくにその地との関係はないそうです。どうせなら「薩摩みかん」とかにしておけばよかったのに。島津のお殿様、欲のないこと。
日本にはもともと橘(タチバナ)、沖縄のシークァーサーなどが原生していましたが、その後中国からさまざまな柑橘類が渡来しました。だんだんと独自の品種改良などもすすみ、日本の柑橘類は他に類のない種類の多さを誇ります。しかも、どれも美味しい! ありがとう、農家さん!
江戸時代の「和漢三才図絵」でも、橘(=蜜柑)は14種類あると記されているぐらいです。
(ちなみに世界ではミカン科の植物は約150属、900種あるといわれています。)
ウンシュウミカンやキシュウミカンの外皮を干したものを生薬で陳皮(ちんぴ)といいます。七味唐辛子にも入っていますよね。
毛細血管を丈夫にする、精油リモネン、配糖体ヘスペリジンを含み、風邪の妙薬として知られています。
また胃もたれ、食欲増進、消化促進、風邪や初期の咳止めなどには、陳皮(ちんぴ)、生姜(しょうが)、甘草(かんぞう)かハチミツを加えて、煎じて服用するといいそうです。
また、浴湯料として、肩こり、腰痛、神経痛、肌荒れ、疲労回復に鍋などで煮出してそのまま風呂に入れると、血行がよくなり、湯冷めしません。
ミカン類や柑橘(かんきつ)類の皮には、比較的強い血圧降下作用も認められ、特にレモンの皮には強い血圧降下作用があるといわれています。
よく近所で夏みかんがなると、ほかの柑橘類も加えて麹をつかって酵素ジュースを仕込みます。ほかの柑橘類は皮ごと入れてOKなのですが、「ウンシュウミカンだけは皮が苦いのでむいた方がいいよ」と教わったことがあります。
何年か前の冬に、小田原でみかんの収穫ボランティアに参加した方から、枝葉を分けていただきました。
アルミで淡黄(たんこう)色、銅で女郎花(おみなえし)色、鉄で油(あぶら)色。収穫後の、しかもかなりの古木だったということで、どれもほんわりと優しい色合いにあがりました。
ミカン全般の花言葉は、「あなたは純潔です」「花嫁の喜び」「清純」。
ミカン(木)の花言葉は、「寛大」
ミカン(花)の花言葉は、「清浄」
11/23の誕生花。 冬の季語。
◎参考サイト/ 文献
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ミカン科
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ウンシュウミカン
・http://www.hana300.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.html
・「和漢三才図会」
・「和漢薬」 赤松 金芳/著 医歯薬出版株式会社
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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