コウヤマキ・浄化の薄紅色
【学名】 Sciadopitys verticillata
【英名】 Japanese umbrella-pine
【別名】 ホンマキ、ママキ
【科】 コウヤマキ科 (スギ科)
日本原産。
学名のSciadopitys は、ギリシャ語の「sciadoc(傘)+ pitys(マツ)」が語源。
葉っぱが輪のようにつく様子から。これがそのまま英語名のJapanese umbrella-pineとなったようですね。たしかに葉を上から見ると、傘の骨のような感じです。
シーボルトも著書「日本植物誌」の中で「日傘の木」と紹介していて、「日本で最も美しい樹木である」と記しています。
材は緻密で耐久性があるため、古くから建築、器具材として用いられてきました。
古墳から出土する木棺は、この木で作られているものが多いというからびっくり。本当に耐久性のよいこと。
樹皮は「槙肌(まいはだ)」とよばれ、舟や桶のつなぎ目にうめて、水漏れを防ぐのに用いられたそうです。
和漢三才図会には、他のマキとの混同はみられますが、「信州の山中に多く、耐水性があるため桶や槽(みずふね)をつくる。紀州の高野山に産するものを特にコウヤマキといい、仏前に供える」といった記述が見当たります。
実際、高野山にはコウヤマキが多く、この名の由来となっています。
また京都の六道珍皇寺における盆行事「精霊迎え(六道まいり)」では、精霊はマキの葉に乗って帰ってくるとされ、この期間、参道にはコウヤマキを売る店が軒を並べるそうです。
参詣者は水塔婆に先祖の戒名を書いてもらい、コウヤマキで水回向する風習が古くから続いています。
コウヤマキから採れるエッセンシャルオイルは、抗菌や消臭の効果が期待でき、気分をスッキリさせる効果もあります。また歯周病に有効と言われ、マウスウォッシュなどに使われる例も。
枝葉を煮出し始めると、たしかに針葉樹特有のすっきりした芳香が漂い、しかもスギやヒノキよりずっと華やかな香り。その香りに浸っていると、ココロとカラダが浄化していくようでした。
抗菌効果も高そうな感じ。それゆえの耐久性なのでしょうね。
液は次第に赤くなり、2時間ほどするとロゼのような色になりました。志村ふくみさんのお話にもコウヤマキでうっすらと赤が染まったとありましたが、ほんとだぁ!
アルミで雄黄(ゆうおう)色から白茶(しらちゃ)色、銅でほれぼれするような赤錆色(あかさびいろ)、鉄で黒橡(くろつるばみ)。
アルミで液の色をとどめるかと思いきや、意外と黄色に転じたので、試しにすず媒染を試したところ、大当たり! 美しい薄紅色になりました。滅多に出会えない色です。
秋篠宮悠仁親王のお印の木。
花言葉は、「奥ゆかしさ」。
9/6の誕生花。(悠仁親王のお誕生日に由来)
◎参考サイト/ 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/コウヤマキ
・https://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・https://botanica-media.jp/2153
・https://kusukinomori.com/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「葉っぱで見分け五感で楽しむ樹木図鑑」林将之/ 著 ナツメ社
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第82巻
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「シーボルト日本植物誌 <<本文覚書篇>>」大場秀章 / 監修
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