ナツメ・馬も驚く柿茶色
【学名】 Ziziphus jujuba
【英名】 Common jujube, Chinese jujube, Chinese date
【別名】 タイソウ(大棗)
【生薬名】 ソウ(棗=シナナツメ)、サンソウ(酸棗=サネフトナツメ)
チュウシソウ(仲思棗=ナツメ属全般)、タイソウ(大棗)
【科】 クロウメモドキ科
ヨーロッパ南部、および西南アジア原産。
実にミネラルやビタミンが豊富なことが知られているため、古くから栽培されてきました。
初夏に芽を出すことが和名「夏芽(なつめ)」の語源となりました。
落葉の低木ですが、高さ10メートルに達する場合もあり、枝が勢いよく広がります。
4~5月ころに葉のわきに淡黄色の小さな花を数個ずつつけます。
果実は核果で楕円形で、はじめは淡緑色ですが、熟すと暗赤色になり、食用となります。
薬として用いる場合は、干してから蒸し上げ、再び干したものを使います。漢方でよく使われる生薬のひとつで、緩和、強壮、利尿、鎮痙、鎮静など、幅広く応用されます。
とくに、緊張による痛みや急迫症状、知覚過敏などの症状を緩和して、他の薬物の作用を穏かにするために他の生薬と配合した漢方薬が多くああります。
神経衰弱、不眠症、鎮痛、滋養・強壮には大棗酒(たいそうしゅ)が効果的。
(ホワイトリカー1.8㍑に乾燥ナツメを荒く切ったもの300g、グラニュー糖150gを冷暗所で3ヶ月ほど漬ける。ナツメの仁(種)は煎じて服用。)
生食でも効能は同じとされますが、和漢三才図会では大食、子供の服用を戒めています。
和漢三才図会には更に、「楓(フウ=マンサク)と棗はいずれもよく神霊に通じる。それで卜卦者(占い師)は、多くこれをとって式盤、式局(いずれも、占いの道具)をつくるが、楓の木を「上」とし、棗を「下」とする。いわゆる楓天棗地(ふうてんそうち)とはこれである」という興味深い記述も見つかります。「楓天棗地(楓と棗で作った六壬式盤)を飼葉桶に置くと馬が驚く。轍(わだち)に置くと車が覆る」とも!
これはびっくり。ナツメの木にいじわるすると、バチが当たるかもしれません。
ナツメでつくるとよいとされる占いの道具「六壬式盤」。
木材としては、硬く使い込むことで色艶が増すことから、高級工芸品(茶入れ、器具、仏具、家具)等に使われています。その他、ヴァイオリンのフィッティング(ペグ、テイルピース、顎当て、エンドピン)にも使われているのだとか。
ご近所の方に枝葉をいただく幸運を得たので、煮出してみました。染液は次第に赤みがまして、液を一晩置いてから染めてみたところ、アルミではあまり色がつかず明るい飴色、すずではアルミより赤みが強く雀茶色、銅で柿茶色、鉄で千歳茶色(せんさいちゃいろ)。
花言葉は『健康』『若々しさ』『あなたの存在が私の悩みを軽くします』
「棗の実」で秋の季語。 9/76の誕生花。
◎参考サイト/ 文献
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ナツメ
・http://www.e-yakusou.com/
・https://www.language-of-flowers.com/hana/se-243/
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」第84巻 寺島良安 / 著
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