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2024/09/16

2024/09/16

ナガエコミカンソウ・隠しきれない憲法黒茶

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【学名】  Phyllanthus tenellus
【別名】  ブラジルコミカンソウ
【英語名】   Mascarene Island leaf flower
【科】   コミカンソウ科(旧:トウダイグサ科) 

 

インド洋のマスカレーヌ諸島、アフリカ原産の帰化植物。

東アフリカ、西インド諸島、アラビア半島の他、オーストラリア、メキシコ、南アメリカなどの亜熱帯に分布しています。

日本では1990年代から関東以南から琉球・小笠原に分布し、都市域に急速に広まっているとのこと。 
日本の気候の温暖化が影響しているのでしょうね。

和名は、もともとあった在来種のコミカンソウに似て、背が高いことから。

葉がオジギソウのように就眠運動するそうです。コミカンソウが上側にとじるのに対し、ナガエコミカンソウは茎の下側に閉じます。

インドや中国では古くから「薬草」として使われてきたそうです。黄疸、B型肝炎、淋病、潰瘍、赤痢などに効力を発揮するとされる他、
皮膚病用の外用としても使用されています。
また、ストレス解消、糖尿病にも良いとされ、お茶が売られているそうです。

スペイン語では形態からフロール・デ・オーハ(葉から出る花)、薬効成分からチャンカ・ピエドラ(腎臓、胆嚢結石を砕く)などの俗名があります。
最近中国では抗ガン効果も期待出来るものとして研究が進められているという記述も見当たります。

なかなかやりますね。

鎌倉でも近年道端などに、よく目にするようになりました。はじめは「あれ、季節外れのカラスノエンドウ?」と思いましたが、かわいいまるい実が葉っぱにくっついていて、別物だとわかり、調査してみた次第。

煮出してみると、少ない量でも濃い黄色い染液となり、アルミで花葉色(はなばいろ)、銅で根岸色(ねぎしいろ)、そして鉄で、深い憲法黒茶(けんぽうくろちゃ)にはびっくりでした。どれも草の見た目からは想像していなかった冴えた力強い色合いです。

ふーむ、いい色、隠しておったな、お主。

花言葉は「秘めた意志」


◎参考サイト/ 文献
http://ja.wikipedia.org/wiki/ナガエコミカンソウ
http://ja.wikipedia.org/wiki/コミカンソウ
https://www1.ous.ac.jp/
https://mikawanoyasou.org/
https://kibou85.blog.fc2.com/blog-entry-94.html

 

 (C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

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トウヘンボク・変わり者は輝く褐色

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【学名】   Cedrela sinensis, Toona sinensis
【英名】   Chinese cedar
【別名】   ヒャンチン、 タマツバキ(玉椿)、トウヘンボク(唐変木)、
                  クモヤブリ、カミナリノキ
【生薬名】  椿(チン / チュン)  
【科】      センダン科 

中国中部・北部原産。 
学名のCedrelaはギリシャ語で「香りのよい木」の意。
英語名がChinese cedarとあるように、幹材を煮出すと、杉のようなよい香りが漂いました。でも杉とは全くの別物。
高さが10m以上になることが別名のクモヤブリ、カミナリノキの由来です。(ほかの高木にみこの別名がつくことが多い)

別名のトウヘンボクは、もともと茶室の床柱のような変わった形の材木を業界で「変木」といい、その中で唐渡りのもの(輸入もの)を「唐変木」と呼んだことにちなみます。この木も中国渡りの床柱仕様、ということだったのでしょうね。一方、遣唐使が持ち帰った変な木、という説もあります。

気のきかない人物、物分かりの悪い人物を「このトウヘンボク!」とののしるようになったのは江戸時代からで、「変わりもの」が転じた結果らしいです。他にトウヘンボクの異名を持つ木には、同じセンダン科のセンダンボクなどがあります。

現代なら、褒め言葉として個性的で素敵な人に使いたいところですね。「よっ、トウヘンボク! お見事!」

独特の赤みの木肌の材は、建築、家具、楽器など幅広く活用できます。三味線の胴、箱根細工に使われることも。
樹皮は縒って桶のタガなどに用いてきました。若葉は食用になります。

生薬では乾燥させた根を「椿根皮(ちゅんこんひ)」といい、月経過多、産後の出血などに効能。

木工家の友人が、トウヘンボクの端材をたくさん分けてくれました。杉のような芳香とともに、染液は濃い赤黒いものとなり、大変堅牢な色を染め上げました。
アルミで櫨色(はじいろ)、鉄で茶褐色(ちゃかっしょく)。とくに銅媒染の褐色(かっしょく)が特筆すべき美色。

よ、トウヘンボク!

4月7日の誕生花(木)。

◎参考サイト / 文献

https://www.mokuzai-tonya.jp/blog/type/2754.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/チャンチン
https://kotobank.jp/
https://www.picturethisai.com/ja/wiki/Toona_sinensis.html

・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

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