カリン・ともし火の樺色
【学名】 Chaenomeles sinensis
【英名】 Chinese Quince Tree
【別名】 安蘭樹(アンランジュ)、唐梨(カラナシ)
【生薬名】 和木瓜(ワモッカ=果実)
【科】 バラ科
中国原産の落葉性高木。
学名のChaenomeles(カエノメレス)は ギリシャ語のchaino(開ける)とmelon(リンゴ)」が語源で、”裂けたリンゴ”の意味。
バラ科のカリンも硬質なため木工に適しているのですが、三味線の胴や棹に使われるカリンは、なんとマメ科の別の植物です。
よく似た実にマルメロがありますが、カリンには毛がなくつるつるしているので見分けられます。
「実」は生では食せませんが、木瓜(モッカ)という生薬で、昔から咳止めの薬として煎じたり薬酒にしたりして用いてきました。
「和漢三才図絵」には、煮汁を服用するとこむらがえりに効く、絞り汁をショウガ汁と砂糖で練ったものを「瓜梨膏(かりこう)」といい、咳・痰に効く、などの記述が見当ります。
【カリン酒】
疲労回復の薬用酒として、果実(未熟果でも完熟果でも良い)を用いる。
冬期に採取した果実5〜6個を、縦横6〜8個くらいに刻んで、
氷砂糖砂糖300〜400gとともにホワイトリカー1.8ℓに漬け込む。
完全に熟成するまでには半年以上かかるが、2ヶ月程度で芳香が出て美しい淡黄色になり、飲むことができる。
煮出していると、甘酸っぱい香りが立ちこめます。
リンゴ、アンズに準ずる濃い色あい。アルミで飴色から蜜柑色、銅で枯茶色や柿茶色、鉄で茶褐色。そして、すず媒染でてた樺色(かばいろ)には心震えました。どれも気の乱れを沈めて、芯からあたためてくれるような包容力のある色合いです。
花は春の季語、実は秋の季語。
花言葉は、「可能性がある」「豊麗・優雅」「唯一の恋」「誘惑 」
11/1・11/21の誕生花。
◎参考サイト/ 文献
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://ja.wikipedia.org/wiki/カリン_(バラ科)
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「和漢三才図絵」 第87巻
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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