ハナシュクシャ・甘美な焦香色
【学名】 Hedychium coronarium
【英名】 Ginger liliy, White ginger lily, Garland lily, Butterfly Ginger,
【科】 ショウガ科
「次の教室にショウガの花をもっていきまーす!」と生徒さんから連絡がきました。
おうちで丹精されているショウガが、白い花を咲かせたのだとか。とてもいい香りがするそうです。
ほんと、いい香り! どんな色になるかしら。食べるショウガと同じものなのかしら。
さっそく頂いた花と茎葉を煮出し、調べました!
学名のHedychium(ヘディチウム)は、ギリシャ語の 「hedys(あまい)+ chion(雪)」が語源。
芳香と白い花色に由来するようですね。
和名は「ハナシュクシャ (花縮紗)」というそうです。
インド、ネパール、ブータンの東南アジア~中国、台湾原産。
日本へは江戸時代の嘉永4年(1851年)に渡来したと「新渡花葉図譜」に記されています。観賞用だったようですね。
根を食用とするショウガは学名Zingiber officinaleで、同じ科の別種。
ハナシュクシャは『ジンジャー』と呼ばれることはあるものの、一般的な食用の生姜とは別物です。
生姜との大きな違いは、根が薬味として使用できないこと。
根からはほのかに生姜のような匂いがし毒性はないが、一般的に食用にしません。
花は酢の物などで生食できるほか、乾燥させてお茶として服用すると腹痛に効くとか。
ほかにも生薬としての働きがないわけではなく、「種子は消化器系に働きかけ、整腸や消化剤として用いられる。また地下茎の精油成分が鎮痛の役割を持つともいわれている。花を蒸留したハーバルウォーターや精油は、その芳香に精神を和らげ、鎮静・抗うつ作用があり、悲しみをやわらげて、うつ気分を緩和するといわれている。」などの記述が見当たります。
日本ではあまり馴染みはありませんが、海外では香水の定番の香りとして親しまれています。
イギリスのサイトには「種子が胃のガス抜きと消臭に効能。 根は抗リウマチ薬、気つけ薬に。 地下茎は解熱剤となり、虫下しの効能も。 蕾や花は食用となる。根も飢饉の時の非常食として調理されることも。」などの記述も。
煮出し始めると、甘い花の香りとは別に、ほのかなショウガの香りが漂い始めました。
染液はミョウガのときと似て茶褐色。ふーむ。これは一晩寝かせてみよう。
翌朝、液は狙い通り赤みがましていました。ミョウガのときは糸にあまり色が移りませんでしたが、こちらはしっかり染まりました。(ほっ)
アルミで焦香色(こがれこういろ)、銅で渋紙色(しぶがみいろ)、鉄で煤色(すすいろ)。
花言葉は「豊かな心」(=ショウガ)「信頼」「慕われる愛」。
7/23の誕生花。 キューバ共和国の国花。
◎参考サイト/ 文献
・https://ja.wikipedia.org/wiki/ショウガ
・https://kamillc.com/
・https://www.flower-db.com/
・http://www.hana300.com/
・https://pfaf.org/
・https://mikawanoyasou.org/
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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