トウヘンボク・変わり者は輝く褐色
【学名】 Cedrela sinensis, Toona sinensis
【英名】 Chinese cedar
【別名】 ヒャンチン、 タマツバキ(玉椿)、トウヘンボク(唐変木)、
クモヤブリ、カミナリノキ
【生薬名】 椿(チン / チュン)
【科】 センダン科
中国中部・北部原産。
学名のCedrelaはギリシャ語で「香りのよい木」の意。
英語名がChinese cedarとあるように、幹材を煮出すと、杉のようなよい香りが漂いました。でも杉とは全くの別物。
高さが10m以上になることが別名のクモヤブリ、カミナリノキの由来です。(ほかの高木にみこの別名がつくことが多い)
別名のトウヘンボクは、もともと茶室の床柱のような変わった形の材木を業界で「変木」といい、その中で唐渡りのもの(輸入もの)を「唐変木」と呼んだことにちなみます。この木も中国渡りの床柱仕様、ということだったのでしょうね。一方、遣唐使が持ち帰った変な木、という説もあります。
気のきかない人物、物分かりの悪い人物を「このトウヘンボク!」とののしるようになったのは江戸時代からで、「変わりもの」が転じた結果らしいです。他にトウヘンボクの異名を持つ木には、同じセンダン科のセンダンボクなどがあります。
現代なら、褒め言葉として個性的で素敵な人に使いたいところですね。「よっ、トウヘンボク! お見事!」
独特の赤みの木肌の材は、建築、家具、楽器など幅広く活用できます。三味線の胴、箱根細工に使われることも。
樹皮は縒って桶のタガなどに用いてきました。若葉は食用になります。
生薬では乾燥させた根を「椿根皮(ちゅんこんひ)」といい、月経過多、産後の出血などに効能。
木工家の友人が、トウヘンボクの端材をたくさん分けてくれました。杉のような芳香とともに、染液は濃い赤黒いものとなり、大変堅牢な色を染め上げました。
アルミで櫨色(はじいろ)、鉄で茶褐色(ちゃかっしょく)。とくに銅媒染の褐色(かっしょく)が特筆すべき美色。
よ、トウヘンボク!
4月7日の誕生花(木)。
◎参考サイト / 文献
・https://www.mokuzai-tonya.jp/blog/type/2754.html
・https://ja.wikipedia.org/wiki/チャンチン
・https://kotobank.jp/
・https://www.picturethisai.com/ja/wiki/Toona_sinensis.html
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
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