ユスラウメ・富と繁栄の唐茶(からちゃ)
【学名】 Prunus tomentosa
【英名】 downy cherry, Nanking cherry
【別名】 ゆすら
【生薬名】 毛桜桃(モウオウトウ=種子) 山桜桃(サンオウトウ=実)
【 科 】 バラ科
中国原産。日本には江戸時代のはじめに渡来したとされますが、はっきりしたことはわかっていません。
学名のPrunus(プラナス)は、ラテン古語のplum(すもも)」が語源。
和名は、朝鮮語の「移徒楽(いさら)」がなまって「ゆすら」になった、花が揺れる様子から「ゆするる」が転じた、など諸説。
シーボルトは、「中国北部では自生しているものが見つかるが、日本ではわずかに庭木として見られるのみである。(実)が赤痢に効くため、市場などでは見られないが、植樹は推奨されている」と書いています。
生薬として、種を乾燥させた毛桜桃(もうおうとう)は、緩下、利尿、肩こり、手足のむくみなどに4~10gを1日量として、約0.3ℓで1/3量まで煎じて食間の空腹時じ服用するとよいといわれいます。
果実は「山桜桃(さんおうとう)」と呼ばれ、クエン酸、果糖、ショ糖を含み薬酒にできます。
熟した果実を1kg、35度のホワイトリカー1.8ℓで3~6ヶ月冷暗所に置き、布で濾してさらに熟成させると、美しい赤いお酒ができます。滋養強壮、疲労回復、低血圧、不眠症などに盃1杯を就寝前に飲むとよいそうです。
(写真出典)
和漢三才図会には「(実は)脾・胃をととのえ、脾気を益し、顔色を好くし、志を美(よ)くする。小児がこれを食べすぎると必ず熱を出す。」などの記述が見つかります。
風水では、ユスラウメは「富の満ち引きを象徴し、繁栄を引き寄せる」とされていて、特に北側に植えるとよいそうです。たしかに、透明感のある赤い実をたわわにつけた様子は華やかで、たいそう縁起のいい風情です。
夏が終わって、ようやく涼しくなってきた先週、近所の友人が「やっと庭仕事する気になったので、剪定してみた」と、ユスラウメの枝葉を分けてくれました。
バラ科の樹木は、赤みの色合いに染まることが多いのですが、こちらも例外ではありませんでした。
アルミで紅鬱金(べにうこん)、銅で唐茶(からちゃ)、鉄で砺茶(とのちゃ)から赤墨(あかすみ)。
どれも力強く、温かみのある色。うんうん、福を呼びそうです。
花言葉は、「郷愁」山桜桃の花(ゆすらのはな)で晩春、山桜桃の実(ゆすらのみ)で夏の季語。
4/17,28,6/23の誕生花。
◎参考サイト / 文献
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・https://www.picturethisai.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ユスラウメ
・https://www.uekipedia.jp/
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「和漢三才図絵」 第87巻
・「シーボルト日本植物誌 <<本文覚書篇>>」大場秀章 /
監修・解説 瀬倉正克 / 訳 八坂書房
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載