ニシキソウ・隠れた情熱の黒紅色
【学名】 Euphorbia humifusa var. pseudochamaesyce,
Chamaesyce humifusa
【別名】 チチグサ、アカクサ
【英語名】 asthma-plant, pillpod sandman
【科】 トウダイグサ科
インドが原産地という説、熱帯アメリカ原産という説も。
薬草として広く認識されているので、人類の移動と共に各地に広がった可能性があるそうです。
日本では琉球列島から九州、四国、近畿地方南部などの温暖な低地に分布します。畑地,芝地,樹園地,荒地,路傍,草地,河川敷などでよくみられますね。
学名のEuphorbia(ユーフォルビア)は、ローマ時代のアフリカのモーリタニア王の侍医の名にちなんだもの。
この医師が、この植物の乳液を初めて薬に使ったといわれています。
和名は葉が緑で茎が赤いことから「二色草」となった、あるいはその赤や緑を「錦」と表したと二説あります。
英語名の asthma-plantは「喘息草」、pillpod sandmanは「薬にする眠り草」の意味で、どちらも薬草としての認識の高さをうかがわせるものです。
イギリスのサイトに「煎じ汁が赤痢、黄疸、切り傷、蛇の咬み傷に有効」という記述が見当たり、別の文献には種子には止血作用があるという記述もみつかります。
が、素人は毒草という認識でいた方がよいでしょう。
実際、茎を切ると、トウダイグサ科特有の白い乳液が滲み出ますが、触れるとかぶれることがあるので注意が必要。とくに犬、猫には重篤な症状を引き起こすことがあるので、食べないように気をつけて。
この毒性が薬に転じるということなのでしょうね。学名がそれを表していると思います。
外来種のコニシキソウには、葉に毛が生えていても中央に斑点がありますが、ニシキソウにはどちらもありません。近年はアレロパシー作用の強いコニシキソウに押されて、絶滅の危機にあるそうです。がんばれ、ニシキ、コニシキに負けるな!
工房の庭に今年から突然お目見えし、草刈りかたがた煮出してみました。
アルミで芥子色(からしいろ)、銅で桑染色(くわぞめいろ)から梅幸茶(ばいこうちゃ)。そして鉄ででた黒紅色(くろべにいろ)が特筆すべき美色。
花言葉は、「執着」「密かな情熱」「数は力」「変わらぬ愛」「控えめ」「地味」。
控えめにしていて密かに「数は力」と思っているところに、この草のしたたかさが見えるようです(笑)。
秋の季語。
オオニシキソウが8/14の誕生花。
◎参考サイト/ 文献
・https://www1.ous.ac.jp/
・https://www.hana300.com/
・https://kurashinista.jp/
・https://matsue-hana.com/
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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